「契約の龍」(13)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/05/12 22:38:57
「どうして黙ってた?」
女史に事務棟まで送ってもらい、校舎の方へ戻る道すがら、クリスがポツリとつぶやいた。
「何を?」
「アレクの両親の事。ここで働いてたって」
「訊かれなかったからね」
「そう…か。そういえばそうだな。自分の事で手いっぱいで、人のことまで思い遣る余裕か無かった...
ぶろぐ、の、ようなもの。
「どうして黙ってた?」
女史に事務棟まで送ってもらい、校舎の方へ戻る道すがら、クリスがポツリとつぶやいた。
「何を?」
「アレクの両親の事。ここで働いてたって」
「訊かれなかったからね」
「そう…か。そういえばそうだな。自分の事で手いっぱいで、人のことまで思い遣る余裕か無かった...
ちょっとお子様には刺激の強い内容も含まれているので、「ココログ」に同じのをUPしました。
↓
http://mapuco.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-cc1f.html
「…クリス?どうかしたのか?」
「幻獣の寿命なんて……考えたこと、無かった……」
「そうね。たいていの場合、幻獣は人よりも長生きだから」
「…ポチのことしか、頭になかった」
「ポチ?」
女史が怪訝な顔をする。まあ、当たり前のような気がするので、説明する。
「えーと、クリスの...
事務棟の後ろは、森になっている。というか、学校自体が森によって外界と隔てられている。森の周囲は小一時間も歩けば一周できてしまうが、森を突っ切って反対側へ抜けることはできない。魔法で歪められているからだ。「誰が」その魔法をかけたのか、については定かではないが、一説によれば、古代の大賢者が、歪められた...
個人個人の時間割が決定するまでの約一月、学内はどこかお祭りじみた賑やかさに包まれる。もっぱら賑わせているのは新入生だが。ちなみに、卒業の時期は年に一回だが、入学の時期は、年に二回、春分と秋分の時期にある。
初日から精霊やら幻獣やらにまとわりつかれていたクリスは、身につけるすべての物に「不可視の...