Nicotto Town



仮想劇場『認めてもらわない自由』


 夜目川の河川敷を昨日の夕暮に旧知の友と二人で歩いた。実に30年ぶりの事だ。互いにあまり多くを語らなかったが、君の今がどういう状況であるのかはなんとなく察知できた。

 夜目川はちょうど河川工事の最中のようで大型のダンプカーが2台、土手の上を土煙を上げながらこちらに向かい、そして僕らのスレスレをす...

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仮想劇場『生きざま、さまざま』


 ネットでみかけた誰かのヒネくれた主張に「くだらないね」って君がつぶやいたら、「お前は生意気だ」って知らない人が速攻で返してきて、そこからもう引けなくなって君は当たり散らすように誰彼構わず噛みついて回っている。それからはただただ不毛な水掛け論。答えなんて一個も見つからない。
 僕はといえばそっぽを...

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仮想劇場『エール』


「きれいな花だっていつかは必ず散るんだもの」と彼女が言った。秋晴れの透き通る風とちょっとだけ汗ばんだ午後のことだ。 僕は表面の溶けかけたアイスを齧りながらそんな彼女の強がりを見つめていた。「もういちど蕾に戻れたらいいね。冬眠するみたいにさ」 僕らの青春は時代の流れの中で重たく花開き、そして当たり前...

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仮想劇場『な~がび~くじゃ~ん』


 白い壁には何にもない。本当に何にもない。それはもう、誰もがびっくりするくらいにね。 そんな場所で世界に思い巡らせても、そこから何かしらの形を出力する元気は生まれず、増してや独り言をブツブツと聞かせる気力も無くしちゃって、ただ茫然自失に日々を横滑りさせながらぼぅっと過ごしていたりする。

 つまり...

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仮想劇場『亡霊を見る日々』


 誰も居ないはずの部屋の片隅に腰を落とし、斜めに切れた白い天井を眺めて過ごしている。今は人の世を離れたばかりで顔が馴染まない。 雑踏を振り切ったおかげで確かに空気は澱まない。しかしそれを清々しいとはまだ言えない現状だ。
 自己防衛のために殴り散らすしかなかったあの情景の、ズタズタに裂かれた断片が天...

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