小人とイタリアンジェラート (8)
- カテゴリ: 自作小説
- 2023/08/21 10:00:13
薄暗い牢屋の中でおれたちはひそひそと話していた。
ミルはおれの襟元に隠れて、看守に見つからないようにしながら。
運良く牢屋はローレンスとおれの2人部屋だった。
残念ながら、ローレンスの家で5日間過ごした後の帰り道、本当にオルセー美術館に忍び込み、警備員に見つかって今度はおれたちに気づかれないよ...
おれはよく浜辺や森の中、あるいは道端などで、落ちてるものを拾う。例えば、どんぐり、ボタン、貝殻、石、ちびた鉛筆、鳥の羽根、何かの部品、錆びた釘、などなど、ちょっと自分のセンサーに引っかかるものなら何でも。そして、それをコレクトして、部屋の棚の中にしまってある。
そんなふうに集まった自分の棚の中にある記憶や思い出、もしくは、新しい体験や、これからしたいことなんかをみなさんにシェアするブログです。
薄暗い牢屋の中でおれたちはひそひそと話していた。
ミルはおれの襟元に隠れて、看守に見つからないようにしながら。
運良く牢屋はローレンスとおれの2人部屋だった。
残念ながら、ローレンスの家で5日間過ごした後の帰り道、本当にオルセー美術館に忍び込み、警備員に見つかって今度はおれたちに気づかれないよ...
音楽にゆられながら、心地よく目が覚めた。 1階の台所でローレンスが軽いジャズをレコードでかけながら、朝食の準備をしているみたいだ。 たまに、きゃあきゃあなどというやかましい声が聞こえるのはミルがもう起きて一緒に料理を作っているみたいだ。 手伝っているというより、遊んでいるようにしか聞こえないけれど。...
森の中、ふくよかな木々の香りの真ん中にローレンス.ブコワスキーの家はあった。
頑丈にしっかりと作られた確かな年期を持つ、つやつやと美しいログハウスだった。
ドアをふたつノックすると、彼はドアを開けて笑顔で迎えてくれた。
ローレンス.ブコワスキーはやせて長身の老人だった。
彼の目は緑色でやわらかく深...
出会った時、彼女は自分の名前を覚えていないと言った。もしかしたら、ぼくに名前なんて無いかも知れないよ。と、さみしそうに言っていた。
しばらくは、ねえ、とか、君、なんてふうに呼んでいたけれど、彼女は自分の名前をほしがった。
おれに付けてほしいと言うので、二人で考えてみよう。と提案した。
彼女がいい。と...
ローレンス.ブコワスキーから返信の手紙が届いた。
手紙を出してから10日後だ。
便せんを開けて二人でそれを読んだ。
「あなたたちにいただいた内容と同じような手紙を年に一度は受け取ります。その全てが空想のものか、からかい半分なものばかりでした。
しかし、あなたたちの手紙のように小人の言語で手紙をつづ...