「契約の龍」(108)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/08/31 19:22:58
アルコールが回ってきたか?この世界にない森、とか聞こえたが。
「話を端折り過ぎた。あの森は、大雑把にいって三方を山に囲まれた場所にある。開けた一方が面しているのが、ミードだ」
「えーと……では、あの、「近隣の村」というのは」
「ミードでなければ、山岳民の集落だろう...
ぶろぐ、の、ようなもの。
アルコールが回ってきたか?この世界にない森、とか聞こえたが。
「話を端折り過ぎた。あの森は、大雑把にいって三方を山に囲まれた場所にある。開けた一方が面しているのが、ミードだ」
「えーと……では、あの、「近隣の村」というのは」
「ミードでなければ、山岳民の集落だろう...
ついて行った先は、方向からすると、どうやら奥の方、王族――王の家族、という意味での――の私室があるあたりのようだ。
「…ここは?」
「レイの部屋、だ。…だったところ、というべきかな。今、火を入れよう」
なるほど。眠れる太子、クレメンス大公が災難に遭うまで使っていた...
仮面は柔らかな革製で白く染められていた。ベルベットで裏打ちがしてあり、外周にそって入れられている銀色の装飾は、描かれたものでなく、銀を箔押ししたもので、急ごしらえの割には凝った作りになっている。
「視界は確保されていますか?どこか当たって痛むところはありませんか?」
係員が仮面の試着をしたクリ...
「…見違えた。声を聞いていなかったら、判らなかったと思う。随分大人っぽく見えるから。それから、とても綺麗だ。あとは…」
「そんなに立て続けに言われると、逆にうそくさいなあ」
クリスが口を尖らせて言う。その唇に置かれている色は、ついばみたくなるような、熟れた木苺の色だ...
担当者がここでちょっと言葉を切る。そして、集まった者たちの顔を見回して言葉を継いだ。
「今回は、ちょっとした思いつきで、ペナルティを設ける事にしました。年少者の方五人には、男子用・女子用、二種類の制服が配られていると思います」
何人かが自分の前に置かれている服を探り始める。
「例えば、ですが...