似たもの同士。【アリスサークル短編】
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/09/25 22:24:33
「私たち、似てるね」
壊れた少女はそう言って嗤った。
「なんでわかるんだよ」
壊れた少年はそう言って哂った。
「誰かの愛情が欲しいところも、 誰かの温もりに餓えているところも、 一人じゃ寂しいところも、みんな似てるじゃない」
少女は当然のように続けた。
「うるせぇな。俺は大切な人を守る...
未来日記所有者14thの日記。
その日の出来事が「全て」小説のように綴られている。
しかし一日一回しか未来が更新されないので、大まかな事しか解らず精密さに欠けイレギュラーに弱い。
「私たち、似てるね」
壊れた少女はそう言って嗤った。
「なんでわかるんだよ」
壊れた少年はそう言って哂った。
「誰かの愛情が欲しいところも、 誰かの温もりに餓えているところも、 一人じゃ寂しいところも、みんな似てるじゃない」
少女は当然のように続けた。
「うるせぇな。俺は大切な人を守る...
…その日はなんだか早起きしたくて、7時に起きた。 せっかくの日曜日なのに俺もご苦労なことだ。 ケータイのアラームのおかげでたいへんスムーズに起床した。 少しだけ肌寒くなってきたのでかぶった毛布からのそのそと這い出して、 身体中の関節をバキバキ言わせて伸びをする。
ちなみに――い...
#-あの子と私と
「シュルゼムのこと"おじさん"って呼んでいいのはフランだけみたいに、 フランのことをフランって呼んでいいのは、"私"だけなの」
そう言って少女は笑った。 三日月に歪んだ幼い口許からのぞく犬歯がきらりと、凶悪に輝いたような気がし...
――あたしは嘘が大嫌いだ。 単純に嫌いというわけではないが、それはまだ伏せさせてもらいたい。 一体どんな了見で"あたしに対して"嘘を吐くのか、 つくづく人間という生き物は理解に苦しむ。 理解する気も無いが。 あたしは人間と契約する時に、「 嘘を吐かぬと誓うか 」と必ず訊い...
*
何度、何度そうして、欲に溺れた愚かな人間を灰にしてやったろう。 そのたびに私の心は、空っぽに乾いていくというのに。 乾き、罅入り、砕ける寸前だった私の心に、その声は染み入っていくようだった。 喚ばれることに慣れてはじめて、私はだんだんと人の世からの招きを無視するようになっていた。 今回も...