「契約の龍」(117)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/09/25 21:19:53
声をかけて国王を抱え起こす。まだ、若干顔色が悪い。そのまま座る姿勢を取らせる。
クリスが彼の周りを包んでいる空気の層を含む「場」を作る。
「クリス、後は引き継ぐから、「場」を解いても良いよ」
クリスが恐る恐る「手を引く」のが解ったので、慎重に国王を立たせる。
「立った姿勢くらいは、自分で維...
ぶろぐ、の、ようなもの。
声をかけて国王を抱え起こす。まだ、若干顔色が悪い。そのまま座る姿勢を取らせる。
クリスが彼の周りを包んでいる空気の層を含む「場」を作る。
「クリス、後は引き継ぐから、「場」を解いても良いよ」
クリスが恐る恐る「手を引く」のが解ったので、慎重に国王を立たせる。
「立った姿勢くらいは、自分で維...
「…長期戦になったら、アレク一人では、心許ない、かと。…卒業を控えた身、でもあるし」
再び父親の方に向き直る。
「私はもともと学院の卒業には拘っておりませんが…アレクはそうではありませんもの。成績評価の出る時期に、つき合わせることはできませんわ」
「...
転移先は、「奥」にあって、多少なりとも様子が解っている場所、という理由でクレメンス大公の部屋が選ばれた。…まさか、こうなることを見越した訳では無かろうが、昨夜の「酒盛り」がなかったら、転移先はもっと遠くになっていたはずだ。例えば、クリスの部屋、とか。
だが。
「うわっ。お酒臭ーい...
控の間の一つに入って、三人がかりでそこに置かれていたカウチの一つに陛下を寝かせる。同時にクリスがその場にくずおれる。
「クリス?」
「大丈夫。緊張が解けただけだから。…しばらく休ませて」
絨毯が敷かれているとはいえ、床の上は冷えるので、立たせて手近な椅子に座らせる。
辺りを見...
件の宮廷古典舞曲は、四人ひと組で踊るもので、中ほどでパートナーの交換がある。踊り手の力量が釣り合っていないと、かなりみっともない結果になりそうなんだが…
「そんな暗い顔なさらなくても。あれが踊れるのは国内でも数十人ほど。その中でも「名手」と呼ばれる方々は、この場にはおりませんもの。...