ユキ、おまえを愛してる(第2話)
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/01/23 17:22:44
私をひいた車は何事も無かったようにスピードを出して走り去った。
「猫がひかれたよ!」
通りを歩いていたおばさんが叫んだ。
「あら、気持ち悪いから早く行きましょ。」
おばさんの連れが顔をしかめると肘を引っ張って足早に去っていった。
まだ意識はある。
雪がクッションになってくれたのか、死なな...
(お願い:この作品はポプラ社小説大賞応募予定作品につき、作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦ください。☆一部名称等ニフティに帰属する部分は投稿時に変更することとする。☆この作品の著作権はわむたんに帰属します。)
私をひいた車は何事も無かったようにスピードを出して走り去った。
「猫がひかれたよ!」
通りを歩いていたおばさんが叫んだ。
「あら、気持ち悪いから早く行きましょ。」
おばさんの連れが顔をしかめると肘を引っ張って足早に去っていった。
まだ意識はある。
雪がクッションになってくれたのか、死なな...
第1章 出会い
雪が降っている。
夜の街のイルミネーションに花びらが舞うように雪が降っている。
その花びらが足元の柔らかい綿毛に落ちては消えていく。
私は猫。
真っ白い雪の中に溶け込むような真っ白い猫。
人間は猫のことをただの動物だと思っているが、ほんとうは別の世界の猫の国からやって来て...
第一章 地獄の魔神犬
黒い塊が走って行く。
よく見るとその黒い塊に光るものがあった。
二つの光るもの、爛々と光る目である。
漆黒の瞳孔の周りが燐の燃えるように輝いている。
遠くから見ると、二つの炎が燃えているようだ。
裂けた大きな口から唾液がだらだらと出ている。
鋭い歯と牙が剥き出し...
わむたんの全身が黄金の光で包まれた。
まるで球体の鎧のようである。
「魔閃光!」
羽のある生き物の口から吐き出された無数のビームはわむたんの黄金の球体を襲った。
パシッパシッパシッ
黄金の球体がビームを吸収して、わむたんに届かない。
「うぬぬぬ・・・このチビめ!」
ベリアル...
羽のある生き物が振り向くと、宮司服を着た男の姿が見えた。
「キキキ・・・俺様にはむかおうとは頭が変なのでないかね・・・キキキ」
「まさかその手に持っているおはらい棒で殴ろうというのじゃないだろうな・・・キキキ」
わむたんがその手に持っているおはらい棒を天に翳すと、シュルシュルシュルと紙の部...