キラとニクラの大冒険 (7)
- カテゴリ: 自作小説
- 2023/09/23 23:20:25
セイゲンさんの家からの帰り道、キラはニクラに言った。
わたし、家に帰ったら、きっとお母様に怒られるわ。そしてもう、森に行くこともニクラと会うことも禁じられると思うの。
もしそれでも、ニクラに会ったり、お母様に反抗し続けたら、お母様はどんなことをするか、わからない。
きっと私が本当に二度とニクラに...
おれはよく浜辺や森の中、あるいは道端などで、落ちてるものを拾う。例えば、どんぐり、ボタン、貝殻、石、ちびた鉛筆、鳥の羽根、何かの部品、錆びた釘、などなど、ちょっと自分のセンサーに引っかかるものなら何でも。そして、それをコレクトして、部屋の棚の中にしまってある。
そんなふうに集まった自分の棚の中にある記憶や思い出、もしくは、新しい体験や、これからしたいことなんかをみなさんにシェアするブログです。
セイゲンさんの家からの帰り道、キラはニクラに言った。
わたし、家に帰ったら、きっとお母様に怒られるわ。そしてもう、森に行くこともニクラと会うことも禁じられると思うの。
もしそれでも、ニクラに会ったり、お母様に反抗し続けたら、お母様はどんなことをするか、わからない。
きっと私が本当に二度とニクラに...
キラは家に帰ると、珍しく父親が玄関で出迎えた。
キラ、居間に来なさい。
父親は厳しい顔でそう言った。
キラは、はい、と言って、素直に居間へ入った。
母親は固い表情でソファーに座りキラを待っていた。
その顔はロウソクみたいな色に見えた。
キラが居間に入ると母親はため息をついた。
父親はその隣に...
ふたりは小屋の入り口の部屋へ行ってみると、セイゲンさんは椅子に座って机にうずくまるように何かをしていた。
机の上のランプには火が灯してあり、薄暗かった部屋の中は柔らかくオレンジ色に明るくなっていた。見ると、セイゲンさんは大きな望遠鏡のような眼鏡をかけて、小さな部品をピンセットでつまんで海中時計を修理...
キラは驚いて、言った。
ニクラはこんな難しい本まで読むのね。
ううん、そんなに難しくないんだ。ゆっくり読めば誰にだってわかるさ。それに、ぼくたちが知らない面白いことがたくさんかいてあるんだよ。
ニクラは本をキラに見せた。
そのページはこの地方についての記述で、町の成り立ちや歴史、宗教や自然、そ...
昨夜、ニクラが叔父に殴られていた頃、キラは2階のベランダから月を見ていた。
キラの両親は二人とも教師だった。父親はキラの通う学校の校長で、県の教育委員会の委員長も務めていた。
この国で学校教師というのは医者や政治家のような高い階級で、よほどの成績で高級大学を卒業した者しかなれない職業だった。
高度...