Nicotto Town



Birth Day

木枯らしに吹かれながら、神保町の古書店街を歩いていた。フランスやウィーンの菓子作りの本を探していたら、店先のワゴンにアイドル雑誌の「明星」や「近代映画」が置かれていた。表紙のアイドルの笑顔に惹かれて、一冊手に取った。

近くの喫茶店「さぼうる」に入りページを開くと、往年のアイドルと喫茶店の古びた調度...

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ぎんなん

寝坊をしてしまった。西方家(にしかた)の教育方針で、寝坊をしても起こしてもらえない。母は、自主性を重んじているらしいが、今日は15分寝坊した。寝坊をした時は、いつも微妙な時間だ。1時間寝坊したら、諦めもつくが、15分だと頑張ったら、授業に間に合う。

朝ご飯を抜いて、駅まで走った。いつもの電車より一...

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読者サービス(完)

顔を洗い、リビングに入ると、栗子がジャージを着て、ソファーに座っていた。どうしたのと聞くと、栗子は、母に借りたと答えた。台所から、「栗子さん、蜜柑の収穫を手伝ってくれるんだって。」と母の声がした。

朝ご飯を食べ、軽トラに道具を積みこみ、出かけようとすると父が出てきた。
「今日は、天気がええわ。作業...

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読者サービス

ママの柿山栗子を軽トラの助手席に乗せて、島の中央にある大山祗神社に向かった。境内に入ると凛とした空気を感じる。樹齢2600年の大楠がそびえ、室町時代に建てられた本殿の回廊には、伊藤博文や山本五十六が参拝したときの写真が飾られていた。

参拝した後、神社に併設された宝物館に入った。武の神を祀る大山祗神...

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蜜柑

健一は、みかんが詰まったコンテナを軽トラの荷台に積むと、海へと降りる道に座り煙草に火をつけた。傾きかけた日差しが海面に反射し、黄色く輝いてた。時間が過ぎるにつれて、黄色からオレンジ色へと変わっていく。

みかん畑の中から、瀬戸内海を見下ろすのが好きだった。島々の間をフェリーや貨物船が行きかっている。...

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