「それにしてもおまえってモテるんだな」
桂木は場を和ますつもりで言ったのか嫉妬をもらす。仙道君と僕は、気まずい顔で桂木を見た。
「ことのが事件と直接には関係ないかもしれないけれど、何かの役に立つかもしれないと思って。だから君の叔父さんにそれとなく伝えてほしいんだ」
「わかった。僕が責任を持って...
もう一度…
「それにしてもおまえってモテるんだな」
桂木は場を和ますつもりで言ったのか嫉妬をもらす。仙道君と僕は、気まずい顔で桂木を見た。
「ことのが事件と直接には関係ないかもしれないけれど、何かの役に立つかもしれないと思って。だから君の叔父さんにそれとなく伝えてほしいんだ」
「わかった。僕が責任を持って...
「桂木君に、真田君だよね?」
「やあ、初めましてだね仙道君…君も家はこっち方向?」
僕と桂木は突然の面通しにあたふたし、苦笑いの愛想笑い。だが仙道君の顔は友好的に話かけたのではないのがわかるほどに青ざめている。何か相談があるのか、口をぱくぱくして声を出そうか出すまいか迷っている。...
掃除が終わるとすぐに臨時の全校集会が体育館で行われた。
内容はもちろん河合有紀の死去。
校長がこの間からの通り魔事件を話し、今回の死者が出てしまったことを話す。河合さんの友人の女生徒たちは、皆すすり泣きを始めた。河合さんは登校途中に襲われ、学校から直線で約三百メートルというところで意識を失って...
「何かあったのかな?」
隣の席の桂木が呟く。
僕は何気なく教室を見回した。僕は比較的前の席だったから気が付かなかったが、一番後ろで窓際の席の河合有紀がいない。病欠かとも思ったが昨日はすこぶる元気だった。
僕はすぐにぴんと来た。
『通り魔だ』
クラスのみんなはテストが遅れることに一喜一憂して...
「まだ通り魔は捕まってないのよ。テストのことより、学校が終わったらなるべく早く家に帰ってくるのよ」
「もうその話はいいじゃない、事件はもう三ヶ月ぐらい起きてないんだし。それに被害者はみんな女の子なんだから、男の僕は関係ないでしょ。それに叔父さんは刑事なんだよ。僕がやられたら叔父さんの恥じゃない」...