Story - 1 / 3
独特の温さが、冷やされきった髪と頬を撫でた。教室の後ろのドアから入ると、まだまだ人は少なかった。私を入れて5、6人しかいないクラスメイトたちは、扉をあけた私を景色の一部のようにスルーして各々の世界に閉じこもっている。無論、私も同じに。話せば人並みに気さくだと自負する私に...
未来日記所有者14thの日記。
その日の出来事が「全て」小説のように綴られている。
しかし一日一回しか未来が更新されないので、大まかな事しか解らず精密さに欠けイレギュラーに弱い。
Story - 1 / 3
独特の温さが、冷やされきった髪と頬を撫でた。教室の後ろのドアから入ると、まだまだ人は少なかった。私を入れて5、6人しかいないクラスメイトたちは、扉をあけた私を景色の一部のようにスルーして各々の世界に閉じこもっている。無論、私も同じに。話せば人並みに気さくだと自負する私に...
Story - 1 / 2
かろうじで座れた座席に滑り込み、文庫本を読みながら揺られること一時間弱。電車から降りると、溢れかえる人ごみのなかで登るべき階段を見失いそうになる。人ごみは嫌いだ。誰だって同じだろうけど。
*
午前7時52分。なんとか抜け出せた人ごみを魚のようにすり抜けて、自動改札...
Story - 1 / 1
――夢から覚める感覚が好きだった。直前まで見ていたはずの滑稽な深層心理の残像の繋ぎ合わせは、ぼんやりと思考を始めるだけで跡形も無く消えてしまう。中には覚えているものもあったけれど、やはり時がたてば薄れ消えてしまうものだ。
*
午後17時23分。電車からホームに降り立つ...
-幕間-
きっと、君に届くと信じて。
あの、どうしようもないほどに救いようも無く馬鹿で愚かだった僕を、許して欲しくなんかなくて、僕は君に、祈り続ける。
*****
祝!コラボ企画です!
http://blog-imgs-45.fc2.com/n/a/g/nagomura27/sa-ya....
Story1 - 2
冷静になろうとしてゆっくり熱い空気を吸い込むと、すっかり焼け爛れたのどに鉄の臭いと熱気が通り抜け、鼻腔と口内に広がった。しばつく目を閉じると、なんとかしてこの状況を切り抜けるために必要なまじないを引き出しから漁る。火には水を使えば良い。でも、さっき家で読んでいたあのまじな...