Nicotto Town



『精霊の世界、星の記憶』第10話「ローズ~」①


第二章 アプリコットの野
「ローズ・フローラの歌」

美しくやわらかい薔薇の花の雨を、星史たち三人はしばらく受けていた。薔薇の花びらが一枚、テーブルの上のカップに落ちていく。ローズ・フローラはやさしく微笑んで、両手を胸にあてた。「消えてしまっても、あの人の思いは消えない」と精霊の言葉でぽつりと言っ...

>> 続きを読む


『精霊の世界、星の記憶』第9話「薔薇の花の雨」②

星史とシルビアは、黙ったままローズ・フローラの次の言葉を待っていた。「森を削ったら、そこに生きていた木々を殺すのよ。木々だけでなく、草や虫、鳥たちも……。木々は空気をきれいにしたり、酸素を作ってくれているのにね。魚の住めない湖、川で家をなくした魚たち、川の流れは速かったり...

>> 続きを読む


『精霊の世界、星の記憶』第9話「薔薇の花の雨」①

第二章 アプリコットの野
「薔薇の花の雨」
小高い岩からふわりと花びらが舞い散るようにスカートを広げて、ローズ・フローラは星史たちの前に舞い降りた。「人間に殺されたって……」と星史は、何か心に沈んでいくものを感じながらつぶやいた。「そうよ、殺されたの。あなた人間でしょう?...

>> 続きを読む


『精霊の世界、星の記憶』 第8話「花の精霊」

第二章 アプリコットの野
「花の精霊」
シルビアはそのままうつむいて、しばらく静かに目を閉じていた。砂金のように美しい髪が、ぱらぱらと背から肩の方へ流れるようにこぼれていった。星史は何か変なことを聞いてしまったのかと、気まずい感じを覚えた。シルビアに何か言おうと星史は必死に言葉を探した。そうあれこれ...

>> 続きを読む


『精霊の世界、星の記憶』 第7話「風の精霊」②

星史は急すぎて「えっ?」と訳がわからなかったが、なめらかで心地よい風が、グルグルグルっと渦を巻き始めた。そして風がもとの穏やかな線をなめらかに描き流れ出すと、絹のように美しく長い銀色の髪をした少女がそこに立っていた。その少女の瞳の色は、アメジストのような紫色だった。目が合ったとたん、星史はその瞳に吸...

>> 続きを読む





Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.