自作小説倶楽部9月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2024/09/30 21:54:21
『不思議なロミ』
ロミは不思議な存在です。初めて会ったのは私が祖母に引き取られた時で、ロミは玄関で祖母を待っていました。「今日からこの子はロミの妹よ」と、祖母は私を紹介すると、ロミは金色の瞳で私をじっと見つめました。その様子に、祖母はロミが承知したものと受け取ったようですが、ロミはそっと私の耳に口を...
『不思議なロミ』
ロミは不思議な存在です。初めて会ったのは私が祖母に引き取られた時で、ロミは玄関で祖母を待っていました。「今日からこの子はロミの妹よ」と、祖母は私を紹介すると、ロミは金色の瞳で私をじっと見つめました。その様子に、祖母はロミが承知したものと受け取ったようですが、ロミはそっと私の耳に口を...
「綺麗な指輪」
この指輪? おばあちゃんの形見なのよ。そうかなあ。大したものじゃないわ。古いからよく見ると傷もあるし、石だって小さいでしょう。まあね。気に入っているわ。魔除けみたいなものよ。やあねえ。私は特別に運が良いわけじゃないわ。勉強だってこうして頑張っているし。たまたまよ。私はそんなにモテてい...
【人魚姫】
「あなたは人魚なんでしょう?」突然投げかけられた言葉に呆気に取られて私は少女の顔を見返した。輝くような金髪に海のような青い瞳。少女の方がよっぽどおとぎ話の人魚姫らしかった。小さいから妖精だろうか。いずれにせよ子供の頃から赤毛と縮れ毛に悩まされた私よりすっと綺麗だ。「メイドさんたちがそう言...
「依頼人」
母がおかしくなったんです。元々しっかりした人でシングルマザーになったのも余程の理由と決意があったのだと子供心に察せられる雰囲気がありました。それでも、時々寂しそうで、私は少しでも母の慰めになろうと勉強や家の手伝いを頑張りました。やっと七歳になる私に母は学校で上手くいっているか、先生は頼り...
『記憶の大樹』
事が起きたのは6月の文化祭だった。僕の絵が盗まれたのだ。放課後に片付けのために集まった部員たちは渦巻き状の金具に残された切れ端を見つめ呆然としていた。美術部の部室に作品が展示される中、僕の絵だけがスケッチ帳から破り取られていた。教室内にいた生徒や父兄の誰も気づかぬ犯行だった。美術部と...