初夢の続きは (12)
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/05/09 00:48:23
いつからだろう?
思えば、いつも何かを追いかけていた。
青空をふたつに分ける飛行機雲
アスファルトの上をどこまでも逃げる不思議な水
そして、いつも一歩先を歩いていたアイツの背中
その背中を、見失ったのはいつ?
どう記憶を辿っても、あやふやなままだった。
しかしゆっくりと、記憶の上に堆積...
いつからだろう?
思えば、いつも何かを追いかけていた。
青空をふたつに分ける飛行機雲
アスファルトの上をどこまでも逃げる不思議な水
そして、いつも一歩先を歩いていたアイツの背中
その背中を、見失ったのはいつ?
どう記憶を辿っても、あやふやなままだった。
しかしゆっくりと、記憶の上に堆積...
「止めなって!」
パンを抱え戻ってきた友人が、2人の間に割って入ろうとする。 少し遅れて悟も、やってきた。
「2人とも、何してるんだよ!」
悟の声を聞くと、優はそちらに頭を向けた。
そして悟に一礼すると走り去って行ってしまった。 「なにがあったんだよ」
残された梅子に、詰問する。
「知ら...
季節は冬に向かっているというのに、穏やかな暖かい日だった。 その為昼休み、中庭でお弁当をとる生徒の数も少なくなかった。 優は、中庭へ向かうドアに手を掛けたまま、大きく深呼吸した。 「よし!」 中庭へのドアを開けると、少し強い風が吹き込んで来て優の髪を揺らした。 その風をまともに受け、覚悟は少し揺らぎ...
曇りがちで、雨まで降った昨日までとは一転。
今日の空は雲ひとつなく、どこまでも青く、高かった。
悟は、季節を感じながら一人通学路を歩いていた。
彼を包む空気は、暖かな日差しと涼しい風とが混ざった、爽やかなモノだった。
歩道の片側に植えられている名前もしらない街路樹、それに沿っていつものよう...
ゆっくりと開いた目からは、涙が流れていた。
何だかとても怖い夢を見ていた気がする。
抽象的で断片的な記憶しか残ってはいなかったが、
それは心や体を引き裂かれそうな、そんな怖さだった。
どれくらいそのままでいただろうか?
初めて見えて来たのは、闇の向こうの見知らぬ天井だった。
(あ、あ...
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