時期外れの七夕小説(3)
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/08/09 02:11:20
「それは……手跡(て)を見れば……」
手跡?自慢じゃないが、俺の字は読みやすいだけが取り柄で、人に覚えられるほど印象的なものではない。
「そんな、一目見て判るような癖はないはずなんだけどなあ……」
「そりゃ、毎日見...
ぶろぐ、の、ようなもの。
「それは……手跡(て)を見れば……」
手跡?自慢じゃないが、俺の字は読みやすいだけが取り柄で、人に覚えられるほど印象的なものではない。
「そんな、一目見て判るような癖はないはずなんだけどなあ……」
「そりゃ、毎日見...
乞巧奠(きっこうでん)は技芸の上達を願う祭りだ。
天帝の怒りに触れて離れ離れになった夫婦の再会を願う祭りでもある。
だから、俺の育った田舎では、徴兵された夫の無事を祈る祭りでもあった。
笑いあいながら五色の糸で飾り付けをする女たちを見てそんな事をふと思う。
なぜ、そんな事を思い出したのか。...
「文(ふみ)を代書してくれませんか」
思い詰めたような顔をして、言い難そうにそう切り出したのは、手代の梁。
「それは構いませんが……何処の誰宛にです?」
そう訊ねると顔を赤らめて俯く。
ははあ、女がらみか。
しかし珍しい。
梁は堅物で通っていて、三十になるこの歳...
慣れないミニのワンピースの足元が寒い。ワンピースと揃いのブーツにはカイロも入ってるし、タイツも穿いてるんだけど、何しろ風が強い。
ちらりと店内の時計に目をやる。まだ閉店まで一時間以上ある。目の前の箱は、一時間前に残り三個になってから、ちっとも減らない。
「今年はミニスカサンタかぁ。長生きはするも...
現在執筆中の『Not guilty but not innocent』が、どうにも暗い展開になってきたので、ちょっと口直しに軽めのクリスマスストーリーでも。
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「俺ってさ、バースデーケーキ、食った事ないんだよねー」
非公認サーク...