新怪アウトプッター(21)
- カテゴリ: 自作小説
- 2018/01/30 12:54:26
月末の1日前に由梨花は引っ越しした。母と父が軽トラックで駆けつけ、手伝ってくれた。実家は農家だから、軽トラックは常備品である。移動する新築マンションは車で10分ほどの距離だから、何回か往復すると午前中に終わってしまった。結婚しているわけではないから、荷物といっても大袈裟なものではない。「次に引っ越...
月末の1日前に由梨花は引っ越しした。母と父が軽トラックで駆けつけ、手伝ってくれた。実家は農家だから、軽トラックは常備品である。移動する新築マンションは車で10分ほどの距離だから、何回か往復すると午前中に終わってしまった。結婚しているわけではないから、荷物といっても大袈裟なものではない。「次に引っ越...
「そこなんだ。起こり得ないことが、実際に起こった。これが問題なんだな。いろいろと考えてみたが、僕が到達した結論は、・・・・。」
湯之原はビールを口に運んで、思案顔をした。理系の考えでは根拠のない理屈は言いたくないということでもあった。
「先輩。空想でもいいですから、考えつかれたことを言ってもらえま...
祝日だというのに協力してくれた業者に感謝しながら、連絡駅で別れると福村は夕方まで、どうして時間を過ごそうかと思った。映画でも見るかと繁華街をぶらついていると、背後から声を掛けられた。振り返ると先輩の湯之原がいた。「どこへ行くのだ。」「それより。先輩はどこへ。」「家にいても仕方がないので、出てきただ...
業者に続いて福村も部屋から出た。由梨花は駅前にある賃貸業者へ向かった。「部屋探しに、僕も一緒に行こうか。」 どのあたりに由梨花が引っ越すのか、福村に興味が湧いたが、直感した通り、由梨花は同伴を断った。「福村君。今日はありがとう。本当に感謝します。けれども、これから探す家は誰にも知られたくないわ。御...
福村は初めて東条由梨花の部屋に入った。直感的な感想は奇麗に整っているということであった。細かい計算を得意とする性格からくるのか、棚の置物にしても、壁のカレンダーや装飾品にいたるまで、縦横がキッチリ並び、見て、美しかった。
業者はアンテナを持って、微弱な電波が出ていないか、確認しながら天井、部屋の...
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