僕は放送室に戻り、部のみんなと新年明けてからのスケジュールを決めていた。
桂木も仙道君もそれぞれの部活に汗を流していた。
しかし、こういう時に放送部のスケジュール会議は長引いた。通常なら一時間もあれば決めてしまうのに、みんなの意見が割れていつもより長時間かかってしまう。
終わったときはもう、...
もう一度…
僕は放送室に戻り、部のみんなと新年明けてからのスケジュールを決めていた。
桂木も仙道君もそれぞれの部活に汗を流していた。
しかし、こういう時に放送部のスケジュール会議は長引いた。通常なら一時間もあれば決めてしまうのに、みんなの意見が割れていつもより長時間かかってしまう。
終わったときはもう、...
体育館へ行く途中に、僕は二階の窓から下校するある女生徒を見た。綺麗と言ってもあまり喜んでくれないような、漆黒の黒髪が風に揺れている。
僕は釘付けになる、そこから飛び降り吸い込まれてしまいそうな黒髪に。
後ろ姿でもわかる。僕が密かに思っている、二つ隣のクラスの長谷川さんだ。僕は校舎の影で彼女が見...
「絶対に許せない」
彼女は学校のトイレの中で呟いていた。
誰もいないトイレの中で写真をポケットから取りだしにっこりと笑う。
「あなたの笑顔は私のもの、何があろうと誰にも渡さない」
日本人の瞳は元来黒い。
厳密に言うと全てが黒ではないが、今の彼女の目は黒い。漆黒、暗黒と形容すれば簡単...
次の日から僕らは仙道君と共に過ごすことが多くなった。彼ともっと仲良くなると同時に監視ということも考えて。
彼は突然仲良く話し出す僕らに戸惑っていたし、彼のクラスメイトも不思議な顔をしていた。
外見のクールで二枚目な、一見すると取っ付きにくい感じとは裏腹に、笑顔が素敵でさりげなく優しい感じがする...
時は無情にも過ぎ去り、殺人が起きてから二ヶ月が経った。十二月になり街もクリスマスの準備で忙しくなっている。
僕はサンタクロースの赤と白の衣装を見ると、今でも無性に胸が苦しくなる。なぜなら子供の頃、クリスマスプレゼントを貰ったことが無いからだ。親もケーキやツリーは用意してくれるのだが、肝心のプレゼ...