Story - 2 / 6
諦め、哀れみ、悲しみ。
それは誰に抱いている思いなのか、僕にはもうわからない。
いくら乾に〝帰ってきてくれ〟と願ったところで、そこにいるのは紛れも無く乾でしかない。
それは悲しいことなのか。
だって、乾は。乾であって、乾でしかない。
たとえどんなにその性格が...
未来日記所有者14thの日記。
その日の出来事が「全て」小説のように綴られている。
しかし一日一回しか未来が更新されないので、大まかな事しか解らず精密さに欠けイレギュラーに弱い。
Story - 2 / 6
諦め、哀れみ、悲しみ。
それは誰に抱いている思いなのか、僕にはもうわからない。
いくら乾に〝帰ってきてくれ〟と願ったところで、そこにいるのは紛れも無く乾でしかない。
それは悲しいことなのか。
だって、乾は。乾であって、乾でしかない。
たとえどんなにその性格が...
Story - 2 / 5
すっかり安心してしまうと、せき止めていた言葉が勝手にあふれ出すようだった。
滲みそうになった涙を堪えて、精一杯笑おうとする。
同時に、乾の顔にも、子供みたいな笑顔が広がっていく。
「乾、良かった。心配したんだよ。乾が死んじゃ――」
「ゆき、」
そして次に僕の...
#-無表情な吸血鬼と無愛想な時計屋さん。
このまま一生サーカスの豚小屋の中で過ごすのが俺の末路だと思っていた。気持ち悪い牙や爪を付けさせられて、見世物として笑われ続ける。俺がいつ何をしたって言うんだと己が身を呪うのも馬鹿らしくなって来た頃、もはや自我さえ希薄になって心が壊死してきたのが...
Story - 2 / 4
次の日は葬式だった。言わずもがな、七神悠里のお葬式だ。クラスメイトと少数の親族でしめやかに行なわれた彼女の葬式での記憶は、午前10時から行なわれ午後3時に解散して、もう既に薄らいできている。なんとなく、ぼんやりと時間を浪費してしまった感覚に浸りながら布団の中で...
Story - 2 / 3
――由貴くん、
扉越しに声がした。落ち着いた声色は駄々っ子をあやすのに似ていて、僕ははっと顔を上げる。取っ手から手が離れた瞬間に、扉が勢いよくスライドした。
「お姫様を迎えに行く王子様が、今からそんな調子でどうするんですか?」
からかいに似た台詞と裏腹に...