Story - 3 / 5
僕は一つ、間違いを犯していた。
*
僕は乾をお見舞いにいく前に駅ビルの本屋さんに立ち寄っていた。そのために早起きして家を出ると、いつにも増して外は寒かった。雪でも降るんじゃないか、と思った。
乾は何が好きだったかな。ライトノベルの新刊コーナー...
未来日記所有者14thの日記。
その日の出来事が「全て」小説のように綴られている。
しかし一日一回しか未来が更新されないので、大まかな事しか解らず精密さに欠けイレギュラーに弱い。
Story - 3 / 5
僕は一つ、間違いを犯していた。
*
僕は乾をお見舞いにいく前に駅ビルの本屋さんに立ち寄っていた。そのために早起きして家を出ると、いつにも増して外は寒かった。雪でも降るんじゃないか、と思った。
乾は何が好きだったかな。ライトノベルの新刊コーナー...
Story - 3 / 4
今までなんとなく信じてきたものを揺るがされて、地面に足が着かない感じ。もしかしてそうかも、とずっと前から思っていたことを当人から度ストレートに投げつけられて、言葉を失う感じ。
自らハッピーエンドを望んでいたくせに、特に進展を求めていたわけじゃない平穏だった日々...
Story - 3 / 3
現実は小説より奇なり。
さてどこぞのお偉方が言った言葉だったか僕はちょっと記憶に無い。倫理の授業は人生観を新たに洗脳されるようで苦手だった。先生の言葉は実に興味深くて面白かったけどさておき。
現実なんて生きているだけで息苦しい。嫌なことでいっぱいだし、どうやら...
Story - 3 / 2
「入れられるけど取れないもの、なーんだ」
正解はコップの罅。勿論コップじゃなくても硝子の罅も取れない。プラスチックの罅も煉瓦の罅も。
でも心を表現するなら、硝子の方が繊細な気がして素敵だと思う。ちなみに僕の心は鋼鉄製。どうでもいいけど。
虎崎さんに訊いた話は三つ...
Story - 3 / 1
泳げば泳ぐほどに沈んで行く、この海は深すぎる。海面なんてとうの昔に無くなって、ただ広がるのは無限の底。先も無い。後も無い。真っ暗で広い。
泳ぐのは大変だ。
気を抜くとあっという間に溺れるし、死ぬ。生き返るのはもっと大変だ。時には自分一人ではもう泳ぎだせなくて、...