# - 1 / 3
目を開けるとモノクロだった。
ああ、裏側の世界に来たんだ、と理解した。
他人に連れてこられるのは初めてだった。
「おはよう、寝坊助さん」
刀の声色はぞっとするほど優しかった。
ぼうっとしていた意識が、痺れていた頭の芯が急激にクリアになっていく。
今の私に...
未来日記所有者14thの日記。
その日の出来事が「全て」小説のように綴られている。
しかし一日一回しか未来が更新されないので、大まかな事しか解らず精密さに欠けイレギュラーに弱い。
# - 1 / 3
目を開けるとモノクロだった。
ああ、裏側の世界に来たんだ、と理解した。
他人に連れてこられるのは初めてだった。
「おはよう、寝坊助さん」
刀の声色はぞっとするほど優しかった。
ぼうっとしていた意識が、痺れていた頭の芯が急激にクリアになっていく。
今の私に...
# - 旅に出てみました
意気込みはともかくとして、村を出てものの30分で命の危機にさらされては呑気に旅を続けようとは思えなくなるもの。 相手はネズミが5倍くらい大きくなった魔物で、やけに凶暴だった。 黄ばんだ汚い牙には毒があったようで左腕が痺れて動かせない緊急事態に陥っている。 幸い2...
# - 0 / 1 当たりを引きました。
古い伝説がある。 世界には魔王を討ち滅ぼすための4つの宝があり、その宝を守る村がどこかにあり、その村で生まれた、選ばれし者の紋章を持つ17歳の少年少女が勇者として旅立ちの日を待っている。 どんな村だかわからない。どこにあるのかもわからない。そもそ...
# - 1 / 2
まあ、敢えて戦わなくたって。 最初から、力量なんて見上げるほど違うんだってわかっていた。
「ッ」
がきん、と妙に鼓膜を引っ掻く嫌な音を立てて刃が私の手を離れた。 同時にバランスを崩して尻餅を突く。痛い。 でも、異様な疲労感が肺と心臓のほうを苦しめていた。 呼吸が全然整...
# - 1 / 1
物語の主人公は、大人しくて聡明で、適度に勇気があるリーダーみたいなカリスマ性を持っているべきなのかもしれない。 でも残念ながら私はそういうタイプじゃない。 嫌なことからは逃げたいし、臆病だし、面倒くさがりなうえにちっとも賢くなんて無い。カリスマ性なんて皆無だ。持ちたいと...