■近代文藝之研究|講話|ピネロ作……(23)
- カテゴリ: その他
- 2013/11/24 07:45:29
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (23)
オープレー、「然し今夜のやうな事は滅多には起らない、世の中は然う狹いものではないから。」パウラ、「然うかも知れない、夫婦の仲の隔たりに比べれば世の中の方が狹いくらゐ、併し貴方は實に良い人だけれども事情が惡かつた、私の言ふ事を覺えて...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (23)
オープレー、「然し今夜のやうな事は滅多には起らない、世の中は然う狹いものではないから。」パウラ、「然うかも知れない、夫婦の仲の隔たりに比べれば世の中の方が狹いくらゐ、併し貴方は實に良い人だけれども事情が惡かつた、私の言ふ事を覺えて...
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (22)
パウラは暫時無言の後夫を呼びかけて、「私は實に濟まなかつた、最早此儘一緒には棲れない身の上であるから、自分が身を引きませう」といふ。オープレーはこれに答へて、併し娘は斯うなれば再び尼寺に歸つて行くであらうから、お前とは依然夫婦とな...
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (21)
要するに此場が大破裂に到る前の大葛籘の頂上で、茲所で覺えずパウラの性格に同感する、彼女は情の激したまゝに手暴な事はしたけれども、其心根は飽までも純潔で、自分の性質は善良で立派な婦人であると信じて居る。唯境遇が自分に強く逆つて居つた...
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (20)
彼の女は、オー、と愕きの叫びを殘したま〓[#踊り字「二の字点」]部屋を出で去らうとする。パウラはエリーンの今の言に得堪へず、出で去るエリーンの腰の邊りに手をかけて引戻す、そして今の言は何を理由にして言つたかと聞くと、エリーンはそれ...
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (19)
エリーンはそれを聞て、それは父上の無理である、人間は生れながらにして善惡二つながらに觸れて判斷する本能を持て居るのであるから、それから離して置かうといふのは出來ないことでせうといふ。此邊が一種の哲學に入つて居る處である。オープレー...