■近代文藝之研究|序に代へて人生觀上の…(10)
- カテゴリ: その他
- 2009/02/20 14:31:13
■近代文藝之研究|序に代へて人生觀上の自然主義を論ず 四(4)
此の點から考へると、世の一人生觀に歸命して何等の疑惑をも感ぜずに行き得る人は幸福である。况してそれを他人に宣傳するまでになつた人は愈々幸福である。私には凡てそれ等のものが信ぜられず、あらが見えるやうに思はれてならない。或るものは持...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|序に代へて人生觀上の自然主義を論ず 四(4)
此の點から考へると、世の一人生觀に歸命して何等の疑惑をも感ぜずに行き得る人は幸福である。况してそれを他人に宣傳するまでになつた人は愈々幸福である。私には凡てそれ等のものが信ぜられず、あらが見えるやうに思はれてならない。或るものは持...
■近代文藝之研究|序に代へて人生觀上の自然主義を論ず 四(3)
私の本心の一側は、たしかに此の事實に對して不滿足を唱へるもつと端的に我等の實行道徳を突き動かす力が欲しい、而も其の力は直下に心眼の底に徹するもので、同時に讃仰し羅拜するに十分な情味を有するものであつて欲しい。私は此の事實を我等の第...
■近代文藝之研究|序に代へて人生觀上の自然主義を論ず 四(2)
併し斯んな事は畢竟ずるに私の知識の届く限りで造り上げた假の人生觀たるに過ぎない。是れが分かつた爲に私の實行的生活が變動する譯でも何でもない。のみならず現に其の知識みづからが、まだ此の上幾らでも難解の疑問を提出して休まない。自己とい...
■近代文藝之研究|序に代へて人生觀上の自然主義を論ず 四(1)
四
知識で押して行けば普通道徳が一の方便になると共に、其の根柢に自己の生を愛するといふ積極的な目標が見えて來る。世間には此の目標を目障りだと言つて見まいとするものもあるが、自分には何うしても見えると言ふ方が正直と...
■近代文藝之研究|序に代へて人生觀上の自然主義を論ず 三(3)
更に一つは、義務とか理想とかの爲に、人間が機械となる場合がある。唯何とはなしに、爲なくてはならないやうに思つて爲る、たゞ一念其の事が成し遂げたくてする。斯んな形で普通道徳に貢献する場合がある。私も正しく其の通りの事をしてゐる。併し...