■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(40)
- カテゴリ: その他
- 2010/06/07 08:24:46
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第八(5) - 第九(1)
さればシェークスピーアが作中のローマンチシズムは、一方之れを中世に尋ね上りて、此所に中世と近世との會合を認め得べきと共に、他方は之れを十八世紀末に尋ね下りて、此所に學問興復の近世と、二百年の後之れに對して起これる反動的氣運との會合...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第八(5) - 第九(1)
さればシェークスピーアが作中のローマンチシズムは、一方之れを中世に尋ね上りて、此所に中世と近世との會合を認め得べきと共に、他方は之れを十八世紀末に尋ね下りて、此所に學問興復の近世と、二百年の後之れに對して起これる反動的氣運との會合...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第八(4)
而してシェークスピーアが作中のローマンチックなる風味、若し源を此に汲むとすれば彼れは、斯くの如くして近世と中世とを一に會流せしめたりと謂つべし。人間的、知識的、戯曲的は近世の潮流にして、超人間的若しくはローマンチックは中世の潮流なり。更に簡單にい...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第八(3)
單に超人間的といふは尚ほ盡きず。『眞夏の夜の夢』『あらし』等が、全篇此の調子に滿てるはいふに及ばず、『ハムレット』の亡靈、『マクベス』の妖婆、皆超人間的若しくは傳奇的空想的風味を、彼れが作に注加する所以なり。而して此の如き風味は、溯つては之れを中...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第八(2)
彼れが文藝上の地位は、一大驚嘆なり。凡そ古往今來彼れが如く時代を破り、彙類を破りしもの他にありや。當時歐洲が中世の長き眠りより醒めて、文藝復興の光りにより、ここに新鮮の天地を見たりし喜びは、おのづから映じて彼れが一代の作にあり。彼れの諸作を通じて...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第七(6) - 第八(1)
ラファエロの心は知るべからずといへども、事實の跡は、是れよりも更に/\深き意義を示すに似たり。彼れは、此の畫によりて實に神と人とを合一せんとしたり。而して是れが爲めには、舊來の信仰一邊なるものを損するの危險を恐れず、活きたる人間の...