■近代文藝之研究|講話|ピネロ作……(8)
- カテゴリ: その他
- 2013/10/16 22:04:59
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (8)
二度目のタンカレー夫人
第一場は、富豪オーブレー・タンカレーの部屋、オーブレーは四十二歳の立派な紳士で今丁度友人三四人と晩餐を共にした後の態。此オーブレーはこれより先き、妻を失つて今は鰥生活であるが、今しも彼れは舊友と...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (8)
二度目のタンカレー夫人
第一場は、富豪オーブレー・タンカレーの部屋、オーブレーは四十二歳の立派な紳士で今丁度友人三四人と晩餐を共にした後の態。此オーブレーはこれより先き、妻を失つて今は鰥生活であるが、今しも彼れは舊友と...
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (7)
さてピネロは「福蜘蛛」の後、一八九三年に「二度目のタンカレー夫人」を出すまでの間、二十四篇の作を有し、又其後最近までに七八篇の作を出して居るが、例へば一八七一年に書いた「郷土」、一八九〇年に出た「復興」、「女校長」、「ダンデヰー・デ...
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (6)
一八七〇-八〇年頃英吉利の劇壇を司配して居つたコンヴェンショナリズムの喜劇的嗜好はピネロをして「福蜘蛛」の如き材料にすら、強て光明的の結末を附するの止むを得ざるに到らしめた。それは成程實際世界に於て殊に英吉利の如き道徳の進んだ社會に...
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (5)
其一番主もなる理由は元來世の多數衆俗といふものは、一日頭や身體の疲れる仕事をして、夜分にでも劇場に行つて笑つて一日の勞を息めやうといふのであるから、好んで肩の凝るやうな藝術を味ふことなぞは出來ない、是れが現時の大都會の形勢であらう。...
■近代文藝之研究|講話|ピネロ作「二度目のタンカレー夫人」 (4)
それで其の評の仕方がおもしろいと思ふから茲に掲げて見よう、曰く此の「福蜘蛛」の筋に付いて作者の根本の思想は、茲に若い夫婦があつて、其夫には死んだと思つた先妻がある、それが意外にも尚生きて居た爲に葛藤を生ずるといふのであるから、斯樣な...