Nicotto Town



白い涙  【我が唯一つの望み:3】



本当は、いつだって悲しかった。
黒も白もなく感情を揺り動かされること。
胸の中をぎゅっと絞られるような思い。
涙が落ちないだけで
決して泣きたい気持ちにならなかったわけではない
けれどそれとは別に心の中にはずっと
淡い喪失感があって、それは消えることはなかった。
いつからそうだったのかは
本当は...

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黒い泪  【我が唯一つの望み:2】


もう世界のどこにも祖母はいない。
凛とした空気に戻ったセレモニー会場は
体感温度が5度は下がって感じられた。
人の体温というものは馬鹿にはならない
一箇所に大勢の人間が閉じ込められているということが
どれだけの熱を発生してしていたのか良くわかった。
砂場で誰かが作ったまま忘れて帰った砂山が
強い北...

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星の涕  【我が唯一つの望み:1】








夜空を見上げると不意に思い出す
近頃は特にだ
最初は作られた空の下だった
そうあの時
僕には、たったひとつ望みがあった
けれどもたったひとつの願いは人の数だけ存在し
次に叶えられることを今か今かと待っている
それは散らかった満天の星空によく似ている
美しくもあり、
美しすぎるがゆえに少...

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聖夜を過ごす君はここにはもういない


特別な夜にしたかった
けれどそれはもう叶うことはない
夜の帳が足早に下りると、色とりどりのイルミネーションが
街を昼間とは違った色で染め始める
すれ違う誰もが幸せそうな顔をしていて
その波から遠ざかるように自転車のペダルに力を込めた


やはり手袋とマフラーは必要だな
赤信号で止まると両手をこすり...

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双子座流星群

ようやく迎えた退社時間。あとは電車に揺られて帰るだけ…。
そして今日も愚痴の材料が増えただけ……。 はぁ~
最近メールでも、直接会っても愚痴ばかりこぼす自分。
それを嫌な顔ひとつしないで聞いてくれるアイツの顔が不意に浮かんだ。
社屋を出たところで、メールが届...

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