旅立ちの引き出しペルセウス座流星群
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/08/14 21:11:35
銀の指輪をそっと引き出しの奥へ
見えない文字で綴られた過去を
暗闇の底へと仕舞い込む
カチリと鳴った小さな錠の音は
僕たちの季節が終わった合図もう夜空を見上げる理由はない宛てのない足跡冷たい形見を置き去りにして
僕は薄明の街へと歩き出す
行き先などどこでもよかった
ただ、君のいないこの部屋から
遠く...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
銀の指輪をそっと引き出しの奥へ
見えない文字で綴られた過去を
暗闇の底へと仕舞い込む
カチリと鳴った小さな錠の音は
僕たちの季節が終わった合図もう夜空を見上げる理由はない宛てのない足跡冷たい形見を置き去りにして
僕は薄明の街へと歩き出す
行き先などどこでもよかった
ただ、君のいないこの部屋から
遠く...
机の上に置かれたままの
君が残した銀の指輪
ペルセウスの光を映すこともなく
ただ冷たく、重く、そこにある触れる指先から伝わるのは
星が死んだ夜の
終わりのない冷気だけ遺された時間秒針の刻む音が
静まり返った部屋に響く
君が置いていった古い懐中時計
それは僕の知らない時間を
今も冷酷に刻み続けている星...
星の数ほどあった願いは
冷たい風の音にかき消され
夜明けの薄白い光が
容赦なく天空(そら)を剥ぎ取っていく君のいない新しい朝が
僕の肩を冷たく叩く吹き抜ける風夜が連れ去った幻のあと
残されたのは乾いた草の匂いと
耳元を過ぎる風の音だけ燃え尽きた星たちの死骸(かけら)は
もうどこにも見当たらない
夜の薄明かりの中で
僕は一つの小さな願いを投げてみた
青空の切れ端のような
透き通った雫が
美しい軌跡を引いて
闇に消えていったそれは遠い古の湖の底に
君の眼差しを見つめた日のように
胸の中の静けさを揺らして
かすかな音を立てずに落ちていく夢のあとさき風は確かにそこにいて
草の光を撫でてゆくのに
君...
茜せる(あかねせる)夕暮のひかりは
白樺の白き幹を あかく染め
小川の水は 桔梗色の硝子を敷くがごとく
うす紫の野菊の影を うつして流るる瑠璃せる(るりせる)夜のふかまりゆけば
碧き(あをき)火をともす 蛍の群は
かへりこし あのひとたちの御魂(みたま)のごとくに
淡きひかりの列をなして ひくく舞ひ...