しづかな森の小径(こみち)をゆけば
木々はひそかに色をかへて
ひかりのなかに 燃えあがる
それはまるで 遠い日の
わたしたちの つぶやきのやうにあかい葉が ひとひら またひとひら
やはらかな風にさそはれて
わたしの肩に 舞ひおりる
ああ あなたはどこにいるのだらう
あのなつかしい眼差しを おもひだす...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
しづかな森の小径(こみち)をゆけば
木々はひそかに色をかへて
ひかりのなかに 燃えあがる
それはまるで 遠い日の
わたしたちの つぶやきのやうにあかい葉が ひとひら またひとひら
やはらかな風にさそはれて
わたしの肩に 舞ひおりる
ああ あなたはどこにいるのだらう
あのなつかしい眼差しを おもひだす...
かきつばたの咲く庭を歩けば
空は澄みわたり ひかりは風にふるへる
ああ そのやうにして
あなたの面影はいつもわたしのこころのなかに
ひとひらの紅(あか)い花びらを落としてゆく秋風がひそかに戸をたたくとき
木々はあざやかに その葉をそめて
燃えるやうな夕暮れをむかへるのだ
わたしたちは遠い雲を見あげて...
まぶしい初夏の ひかりが青空にみちるとき
小鳥のさえずりが 森の奥からきこえてくる
世界はこんなに たのしげに歌っているのに
わたしの心だけが 切ないなみだに暮れていますそよ風が やさしく草の葉をゆらしてゆき
きらめく木漏れ日が わたしの影を浮きぼりにする
いくら涙をふいても あとからあとからあふれ...
その一はるに近い あかるい夏日の夕暮れ
なみは 無数の宝石のやうにひかる
まぶしすぎる光の つめたい海のうえに
一本のけむりが 白くのびているゆくえを忘れた鳥が 一羽だけ
きらめく波のまにまに 消えさらうとしている
さびしい心は なにもいはずに
ただ あおい風のゆくすえを追ふそこへ ひと...
古い窓からは 港の波がみえた
きみはしづかに 絵の具の箱をひらき
見慣れたレンガの 翳(かげ)るゆくへを
だまりながら ただ見つめていた人びとの声は 風のやうに通りすぎ
坂道には つめたい雨がふりそそぐ
食べるための日々の にがさのなかで
きみはひそやかに 光をあつめていたいまはもう 筆をおいた部屋...