Nicotto Town


ごま塩ニシン


封印された遺書(1)

 去年の今頃だったと君岡は振り返った。あの後、北野の奥さんはどのようにしたのだろうか。生ごみの袋を右手に提げて十メートルほど歩くと駐車場のブロック塀の前にゴミ置き場があった。空は鉛色で、どんより濁っていた。空気は冷え、風もなく静かな朝であった。黒のオーバーを着た若い女が足早に駅に向かって横を通り過ぎ...

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