窓のなかの戦火、水に浮ぶともしび
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/07/03 06:17:19
小鳥らは いつしか樹々に眠りねど
雲はただ 遠き戦(たたかひ)の空へ急ぐ
かの國の あまたの傷をやはらげんと
月ひかり あはく硝煙の街を照らせり窓をひらけば 夜風のなかに
ともしびの 水の面(も)をすべるが見ゆ
消えゆきし ひとつの命をあはれむごと
灯籠は くらく寂しき川を流れぬお祭の ひびきは遠く...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
小鳥らは いつしか樹々に眠りねど
雲はただ 遠き戦(たたかひ)の空へ急ぐ
かの國の あまたの傷をやはらげんと
月ひかり あはく硝煙の街を照らせり窓をひらけば 夜風のなかに
ともしびの 水の面(も)をすべるが見ゆ
消えゆきし ひとつの命をあはれむごと
灯籠は くらく寂しき川を流れぬお祭の ひびきは遠く...
あかりが水に ひるがへり
かすかな夜の 風にふるへてゐる
それらはみな あまたの記憶のやうに
くらい流れを どこへともなく下つてゆく遠い國の なほ遠いあかりの消えるおとを
私たちは きかないふりをしてゐるのだらうか
あちらでは ひとつのいのちが砂にまみれ
こちらでは ほのかなともしびが波に揺れるあた...
風はどこからともなく吹きすぎてゆく
麦の穂をゆらし 傾いた教会の屋根をなで
青い空の下の小さな部屋へ
私よ おまへはもう泣かない
そこには燃えるような太陽のひまわりが
ただ静かに だれも見ていないのに咲いてゐるからさびしい心は耳をすます
オーヴェルの丘に立つと
麦畑は波打ち 雲は流れる
色あせない画...
黄金(こがね)の波のうねるなか
風はどこからともなく吹きすぎて
ひとりの旅人の背をなでるあの日、麦の穂はさざめき
鴉(からす)の群れが空を裂いた
青い絵の具のなかに沈む夕陽は
彼の孤独をただ見つめていた胸に抱いた消えぬ痛みと
カンヴァスに遺した最後の祈り
「悲しみは永遠に続く」と
呟いた声も 風がさ...
愛することは、罪を犯すことだ。
神の定めた正しい舗道(ほどう)を外れ、
二人だけの暗い沼地へ、手を取り合って沈んでゆくことだ。「あなたを愛しています」
その一言は、世界に対する宣戦布告。
誰かを幸福にする愛の裏には、必ず、
見捨てられ、泣いている誰かの影がある。
私たちの幸福は、他人の不幸の瓦礫(が...