盂蘭盆会に寄せて 星の粒
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/08/13 08:04:00
白樺の(しらかばの)細い幹のあいだに
夕暮れは うす紫の影をのばす
小川のせせらぎは かすかな楽器のやうに
すぎてゆく時間を 歌ひつづけてゐるかえつてくる あのひとたちの足音が
草の葉をふむ やさしい気配(けはい)よ
私はただ 水の音をきいてゐた
消え去つた日々の 遠い約束を空のすみから しづかにこ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
白樺の(しらかばの)細い幹のあいだに
夕暮れは うす紫の影をのばす
小川のせせらぎは かすかな楽器のやうに
すぎてゆく時間を 歌ひつづけてゐるかえつてくる あのひとたちの足音が
草の葉をふむ やさしい気配(けはい)よ
私はただ 水の音をきいてゐた
消え去つた日々の 遠い約束を空のすみから しづかにこ...
なつかしい足音が 草をわけ
かえつてくる 青い夜の気配(けはい)に
とほい空の 遠い星の粒(つぶ)が
しづかに こぼれやまぬひかりよお前はどこを歩いてきたのか
水の上を 風にのる白い翼(つばさ)よ
私はただ 窓をあけてまつてゐた
過ぎ去った日々の うすい影を草の葉に 露がおちるやうに
ひとしずくの ...
そっと窓をひらけば 夜のしずく
雨のなかに 青い月光がとけてゆく
セーヌの川面は 銀色にかがやきながら
僕のなくした時間を どこへ運んでゆくのだろうポン・ヌフのアーチのした あわく揺れる影
きみのさしかける傘の うつくしい丸みのなかで
僕はただ やさしいソナタを聴くように
言葉にならない旋律を 胸に...
昏い雨に濡れた アスファルトの底から
にじみだすのは 濁ったアブサンの緑色か
アトリエのストーブは とうに冷えきって
僕はただ 他人の燃え殻のような夜を生きているジャンヌ きみの引きのばされた首のうつくしさが
僕のキャンバスを いまも呪縛のように縛りつける
モディリアーニが その瞳を塗りつぶしたとき...
淡い夕暮れが 石畳を濡らすころ
かすかな風は 古いマロニエをゆらし
僕の窓を そっと叩きにやってくる
遠い 遠い モンパルナスの街角からきみの指先が奏でていた やさしいソナタは
いつしか雲のむこうの 星のまたたきにまぎれ
僕はただ ひとつの部屋のともしびを見つめ
過ぎ去った季節の影を ノートに書きつ...