雲と海の境界は消え失せ、白く冷たい静寂が広がる。
独り立つ空の下、透明な風が頬を撫でてゆく。
失くした夢の続きを紡ぐように、私はそっと呟いた。もうどこへもゆくまい
ここは空の果て、約束の地
光る波頭が私を呼んでゐる空は青く澄みわたり、世界はただ静かに眠ってゐる
私はもう、何をも恐れない
ただ風を聴き...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
雲と海の境界は消え失せ、白く冷たい静寂が広がる。
独り立つ空の下、透明な風が頬を撫でてゆく。
失くした夢の続きを紡ぐように、私はそっと呟いた。もうどこへもゆくまい
ここは空の果て、約束の地
光る波頭が私を呼んでゐる空は青く澄みわたり、世界はただ静かに眠ってゐる
私はもう、何をも恐れない
ただ風を聴き...
なにも見えない 暗闇のなかで
ただひとつ 鋭くひかる三日月のなかに
ぼくは 幻のやうな記憶を見てゐる
それは とうに失われた なつかしい日々の色彩閉ざされたシャッターの向かうから
こぼれてくるのは あたたかな誰かの笑ひ声
古い街灯のしたには 夕暮れのやうな人波がゆき
呼び交はす声が 優しく路地に満ち...
さびしい色をした 鉄の扉がならんでゐる
昼のひかりも ここではとつくに色あせ
だれも訪れない うす暗い横丁のなかに
ただひとつ 冷たい風だけが 吹きぬけてゆく見あげれば 錆びついた看板のすきまから
ちひさな みかずきが そつと覗いてゐる
それは 遠いむかしに 忘れてきた
だれかの 優しいまなざしのや...
それは まつたく ひとつの約束のやうに
紫いろの夜が 街をひたしてゆくとき
ひそやかに レコードの溝から こぼれおちる
Betty Carter あたたかくも 鋭い歌声は舗道の石に ちいさな水たまりをうかべ
街角のカフェの窓には おもひでの灯がともる
ぼくらは ただ 風のなかで立ちつくし
過ぎ去つた...
Ⅰ
だれも知らない草の葉の
そのかそけき囁きのひびく処で
ぼくらはそっと息をひそめてゐた
夕闇のなかに風がそよぎだすのを遠い街のざわめきをよそに
ちひさな雲が夜の隅に迷ひこむ
きみの横顔はかすかに匂ひ
ぼくの心は千々に震へてゐたそのとき 静かな水のおもてに
ひとつのひかりが零(こぼ)れ落ちた
それは...