序文(まえがき)ひとつの旅のやうに、私の心のなかの風景はうつろひ、そしてここに小さな手帳となって留まる。はじめに白浜のひるすぎの、あのあかるい光のなかにたたずんでゐた一羽の海鳥が、私のなかの孤独の形であつた。それはやがて、だれもゐない夜の渚にそそぐつめたい月光となり、私のすべてであつたあの人への、か...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
序文(まえがき)ひとつの旅のやうに、私の心のなかの風景はうつろひ、そしてここに小さな手帳となって留まる。はじめに白浜のひるすぎの、あのあかるい光のなかにたたずんでゐた一羽の海鳥が、私のなかの孤独の形であつた。それはやがて、だれもゐない夜の渚にそそぐつめたい月光となり、私のすべてであつたあの人への、か...
ピアノの音が しづかに溢れて
誰もゐない森へ 流れてゆく
パステル画のやうな 淡い青空
窓辺のソナチネは 風に揺れる水色のガラスのむこう ひそやかに
一羽の小鳥が 拍子(リズム)をとり
僕の失つた やさしい歌を
木々の梢へと はこんでゆくおまへはあの しろい夏雲のなかで
鍵盤のはねる音を 聴いてゐる...
パステル画のやうな 淡い青空に
大きな夏雲が ひとつ浮かんでゐる
誰もない森の しづかなまひる
窓をひらけば 風がリボンを揺らす水色のガラスのむこう ひそやかに
一羽の小鳥が 歌をうたひ
僕の失つた いくつかの言葉を
木々の梢へと はこんでゆくおまへはあの雲の しろいひだのなかに
いまもかすかに 隠...
しづかな森の 梢のうえに
大きな雲が 湧きのぼつてゐる
だれも知らない 古いみづうみのやうに
青い空に しろく たたずんでゐるそこには 僕のあしあとすらなく
ただ ひそやかな風のゆききばかり
くりかへす言葉は 木々の葉にのまれて
遠い記憶のやうに ただ濁つてゆくおまへはそこから 僕を見てゐるのか
あ...
なぜ私がここに生きているのか その問いが今も胸を重く縛りつける
救えなかったあの人々の影が 冷たい泥の底から私を呼ぶようで
私は今も あの戦場のような夜明けのなかに立ち尽くしているこの命の重みは あまりにも苦しく あまりにも不条理で
生かされた我が身を責める涙は 今も乾くことがない
それでも あの朝...