月明かり、心の旅路(微光と静寂)
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/08/05 21:20:00
月明かりは 足元の乾いた砂を白く染め
踏みしめるたびに かすかな哀しみの音を立てる
あの日 あれほど優しく口ずさんでいたはずの
小さな歌のひとふしを わたしはもう忘れてしまった草むらの奥に ひとつ、ふたつとまたたくのは
はかない蛍の光――それは消えゆく記憶の火影か
思い出そうとすればするほど その旋...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
月明かりは 足元の乾いた砂を白く染め
踏みしめるたびに かすかな哀しみの音を立てる
あの日 あれほど優しく口ずさんでいたはずの
小さな歌のひとふしを わたしはもう忘れてしまった草むらの奥に ひとつ、ふたつとまたたくのは
はかない蛍の光――それは消えゆく記憶の火影か
思い出そうとすればするほど その旋...
月明かりは 冷たい硝子(ガラス)の破片のようで
わたしのなかの いちばん哀しい場所を照らす
あの日 あれほど優しく口ずさんでいたはずの
小さな歌のひとふしを わたしはもう忘れてしまった白樺の林をぬけて 夜の風が吹きすぎるとき
かすかに鳴るのは 失われた記憶のオルゴールか
思い出そうとすればするほど ...
月明かりは 静かな銀のしずくをこぼし
わたしの古いノートの端を 淡く濡らす
あの日 見失った優しさのゆくえを探して
心はひとり 見知らぬ夜の風のなかに旅立つかすかなざわめきは 白樺の梢からだろうか
それとも 遠い日の君のささやきだろうか
道はどこまでも青く どこまでも冷たく
わたしの靴音だけを ひそ...
夕映えは 外輪山のなだらかな肩を染め
旅人の僕は ひとつの窓辺に佇(たたず)む
草千里をわたる風が カーテンを小さく揺らし
真夏のあかるい一日の終はりを 告げてゐた遠い火の山の かすかな煙のゆくへを
僕はただ しづかな眼(まなこ)で追つてゐる
見知らぬ村の ともしびがひとつ、またひとつ
青いねむりの...
ともしびが ひとつ消えるやうに
ひぐれは 静かに草千里(くさせんり)に降りてきた
烏帽子(えぼし)の峰は あかい夕映えをまとい
青いねむりのなかに かへってゆく放たれた馬たちの あしおとが遠のき
小さな村の窓に あかりがともる
火の国の みづみづしい夜は
星のまたたきと ともにひらかれる僕らはただ ...