窓のそとには かすかな雨のしづくが
かすんで消え去る ひとつの旅の終はりに
あたたかい記憶のなかの あの日のはなびらが
いまも私のこころに そつと舞ひ降りる汽車は鳴らす かすれた汽笛の音を
遠いあふぞらの 見えない記憶にむけて
あまたの駅をすぎ ここまで運ばれたものは
ただひとつの 小さななみだの雫...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
窓のそとには かすかな雨のしづくが
かすんで消え去る ひとつの旅の終はりに
あたたかい記憶のなかの あの日のはなびらが
いまも私のこころに そつと舞ひ降りる汽車は鳴らす かすれた汽笛の音を
遠いあふぞらの 見えない記憶にむけて
あまたの駅をすぎ ここまで運ばれたものは
ただひとつの 小さななみだの雫...
いつしか街は 淡いみどりにつつまれて
しづかに始まる あめの季節のゆうぐれ
窓にのこされた 小さななみだの雫は
かすかな光をあつめ ただきらめいている遠くのほうで ひびく切ない汽笛のねは
白くかすんだ 雲のむかうへ消えてゆく
私はひとりで 古いともしびをかかげ
すぎてゆく日の やさしい足音をきいてい...
つめたい雨は すべてを濡らしてゆく
あぢさいの青も 夕闇のふかい底へと
わたしのこころの 小さななみだの雫は
どこへも行けずに ただ溢れてしまふ遠い駅からは かなしい汽笛のねが響き
もう帰らない旅人を 呼んでいるやうだ
あんなに優しかつた あの日の光は消え
いまはただ 梅雨のはじまりの暗いよるあなた...
_昭和初期仮名遣い_
雨はしとしとと 暗き窓(まどひ)を濡らし
遠き寺の鐘 はるかに響きわたる
わが部屋のみぞ 寂しくとり残され
小さきともしび しづかに揺らぎをるここにはもう 誰も来ぬなれば
優しき思ひ出も 雨の音に消えゆき
ただ灰色の闇のみ 部屋に満ちすすめば
われはひとり 冷たき時を生きてあ...
雨の降る夜、窓のむこうは暗く、
遠い教会の鐘が、長く響いている。
ぼくの部屋だけが、ぽつりととり残され、
小さなともしびが、しずかにゆれている。ここには、もうだれも来ないのだろう。
あたたかな思い出も、雨の音に消えて、
ただ灰色の闇が、部屋に満ちてゆく。
ぼくはひとり、冷たい時間を生きている。けれど...