Nicotto Town ニコッとタウン

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逃げ場の終焉

湿ったレンガの壁が、行く手を塞いでいる。
振り返れば、追いかけてきたはずの喧騒さえ
夜の帳(とばり)に飲み込まれていた。ここは、地図から見放された吹き溜まり。
春のぬるい風も、この角を曲がれば
湿り気を帯びた古い鉄の匂いに変わる。行き止まりは、嘘をつけない場所だ。
言い訳も、退路も、未来への期待も、...

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硝子越しの春

春の陽光は、安物のバーボンに似ている。
見かけだけは華やかだが、喉を通ればただ苦いだけだ。街は薄桃色の騒音に浮かれ、
誰もが新しい季節の「正解」を探している。
だが、俺のデスクに届くのは
去りゆく冬が残した、支払期限の過ぎたツケだけだ。窓の外、桜の花びらがアスファルトに散る。
それは誰かが不器用に切...

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硝煙と静寂

街の隅、古びたカウンターに置かれたグラスの中で
琥珀色の液体が、過激な主義主張を飲み込んでいく。窓の外では、「正義」を冠した声が響く。
それは揺るぎない「原理」の名を借りた、冷たい風だ。
世界を一つの色に染め上げようとする、あまりに純粋で、あまりに鋭い意志。しかし、その純粋さが通り過ぎた後には
いつ...

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迎撃:サイレンサーの沈黙

向こうからやってくるのは 制御不能の暴走列車
「察しろ」「許せ」「受け止めろ」
手垢のついた 湿った感情(弾丸)をバラ撒きながら。だが こっちの土俵に上げる必要はねえ。
熱狂には 氷のような微笑みを。
罵声には 空っぽのグラスを。「……そうですか」
その五文字は 世界で最...

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硝子細工のバレンタイン

午前二時、場末のダイナー。
使い古されたジュークボックスが、低い旋律を吐き出している。
「君の容姿は、笑えるほど滑稽だ」
そんな歌詞が、夜の静寂に不器用な波紋を広げた。窓の外は、冷たい雨がアスファルトを濡らしている。
向かいの席には、誰もいない。
ただ、燃え尽きようとしている煙草の煙だけが、
君の輪...

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