申し訳ありません。
また、あなたを思い出してしまいました。
バーボンに浮かべた氷が、
私の言い訳を遮るように静かに溶けていきます。愛というものは、実に厄介な落とし物ですね。
拾い上げた瞬間に、
掌を火傷させるほどの熱を持っている。
私はその痛みを、
誇りのように抱えて歩いてまいりました。悲しみについ...
申し訳ありません。
また、あなたを思い出してしまいました。
バーボンに浮かべた氷が、
私の言い訳を遮るように静かに溶けていきます。愛というものは、実に厄介な落とし物ですね。
拾い上げた瞬間に、
掌を火傷させるほどの熱を持っている。
私はその痛みを、
誇りのように抱えて歩いてまいりました。悲しみについ...
救済とは、安らかな眠りではない。
目を逸らしていた「現実」という名の銃口を、真っ向から睨みつけることだ。男は、震える手で最後の一本に火をつけた。
肺を満たす煙は苦く、血の味がする。
だが、その痛みこそが、俺が「生きて、ここにいる」唯一の証左だ。奇麗事の嘘を脱ぎ捨てた後に残ったのは、
錆びついたアスフ...
冷たい雨が、波止場のコンクリートを黒く染めている。
視界の端で、古ぼけたクレーンが骸骨のようにそびえ立ち、
鉄の錆びた匂いが、肺の奥まで突き刺さる。俺はコートの襟を立て、
配達されることのなかったその一通を、
荒れ狂う海へと差し出した。封筒は、もう雨を吸って重い。
中身の言葉も、きっと泥のように溶け...
午前3時。バーボンのグラスが、空になった俺の心みたいに冷たい。
テーブルの隅、埃をかぶった黄色い封筒。
宛先は「霧の彼方、あるいは死んだはずのあいつ」。
切手は貼った。住所も書いた。
だが、この街の郵便夫は、真実(トゥルース)を運ぶのには少しばかり臆病すぎる。煙草の煙が、天井に愛の言葉を描いては消え...
死んだ女に手紙を書く。
そんな滑稽な儀式を、僕は今夜も律儀に繰り返している。
グラスの縁にこびりついた安酒の匂いと、
お前の好きだった、あの安っぽい石鹸の香りが混ざり合って、
吐き気がするほど、部屋は静かだ。「拝啓」と書く。
それだけで、僕は自分の心臓を針で刺したような気分になる。
お前はもう、郵便...