暁(あかつき)のトランク
- カテゴリ: 日記
- 2026/04/05 07:45:27
夜の帳(とばり)が薄れ、雲の端が白み始めてまいりました。
お客様、その古い手紙と、擦り切れた写真を
今、ゆっくりと胸のポケットへ戻されましたね。それは「捨てる」ためではなく、
これからも共に生きるための、重い勲章でございます。
誰にも触れさせない、あなただけの聖域。
語られることのない愛ほど、強く気...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
夜の帳(とばり)が薄れ、雲の端が白み始めてまいりました。
お客様、その古い手紙と、擦り切れた写真を
今、ゆっくりと胸のポケットへ戻されましたね。それは「捨てる」ためではなく、
これからも共に生きるための、重い勲章でございます。
誰にも触れさせない、あなただけの聖域。
語られることのない愛ほど、強く気...
夜間飛行の客室、わずかな読書灯の下で。
お客様がそっと取り出されたのは、
四隅の擦り切れた、小さな一枚の写真でございますね。そこに写る方の微笑みは、もう二度と動くことはなく
あなたの指先に触れる温度も、遠い記憶の彼方。
配達されることのなかった、その古い手紙の隙間に
ただ独り、閉じ込められたままの面...
夜間飛行の客室に、かすかな紙の匂いが混じります。
お客様、膝の上で握りしめていらっしゃるのは
もはや届くことのない、色褪せた一通の手紙でしょうか。消印は数年前、あるいは、もっと遠い記憶の底。
宛名の主(あるじ)はもう、この世界のどこにもおらず、
あるいは、お客様の隣に座る資格を失ってしまった。
行き...
翼の下には、こぼれ落ちた星屑のような街の灯。
高度一万メートル。
ここは、日常の喧騒も、かつてのしがらみも届かない
静寂に守られた、鋼鉄の聖域でございます。お客様、深く腰掛けたそのお背中に
どれほどの重荷を背負ってこられたのでしょうか。
揺れる琥珀色のグラスの中で、氷が立てる微かな音は
誰にも言えな...
静寂が、ここにはあります。
冷えた珈琲と、ただ古いだけのラジオ、
そして、私の内側で鳴り止まない、
誰かの遠い歌声だけが、顧客(クライアント)です。銃は持っていません。
代わりに、いくつかの古い記憶を、
壊れかけたポケットに隠し持っているだけです。鏡に映る男は、誰でしょう。
私に似ていますが、私では...