ノートルダムの白夜――霧と石の独白
- カテゴリ: 日記
- 2026/06/27 23:28:30
重く、暗い、凍てつくような夜霧だ。セーヌの川面は黒い鉛のようで、ノートルダムの巨大な影は、まるで人間の罪そのものを告発する巨大な墓碑のようにそびえ立っている。外套のポケットの中で、俺の指先は凍えている。神は沈黙し、世界はあまりにも広大で、そしてあまりにも冷酷だ。この霧のなかでは、大公も、浮浪者も、そ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
重く、暗い、凍てつくような夜霧だ。セーヌの川面は黒い鉛のようで、ノートルダムの巨大な影は、まるで人間の罪そのものを告発する巨大な墓碑のようにそびえ立っている。外套のポケットの中で、俺の指先は凍えている。神は沈黙し、世界はあまりにも広大で、そしてあまりにも冷酷だ。この霧のなかでは、大公も、浮浪者も、そ...
あわい葡萄色の夕暮が セーヌの川面を染めてゆく
春の嵐の名残りの風が 冷たく水を揺すぶるとき
僕は ただひとりの寂しい個影(かげ)となり
きみの来ない川辺の古本市(ブキニスト)の横にたたずむ外套のポケットの奥 指先が触れる一通の未開封の手紙
きみが遺(のこ)した最後の言葉を 僕はまだ読むことができな...
1
しろい霧が 並木道を深くうづめてゐる
そこには だれの足跡もみつからない
僕は ただひとりの寂しい個影(かげ)となり
凍てついた鋪道を あてもなく歩いてゐる古い外套のなかに 両手を深く沈め
吐きだす息の あわい白さを見つめながら
僕は むかし僕が愛したひとたちの
やさしい面影を 霧のなかにさがし...
ひそやかな六月の雨が パステル画のやうに
森の緑を あわく にじませてゆくとき
濡れた青葉のひだに 風はオルガンを弾き
そらには やはらかな七色の虹がひろがる
それはいつか夢みた はかない記憶の色彩(いろ)
水色のひかりと 薄紅の雲のすきまを
ひとつの孤影が しづかに歩んでゆく
ふりかへることもなく...
激しい風が、輪郭を削っていく。
手のひらで冷たく冷え切っているのは、
ガラスの割れた古い懐中時計。
若く、無垢で、誰かを信じ切っていた
「過去の自分」の遺骸が、そこにある。
ねじ切れたリューズは、もう沈黙したまま。
午前四時五分。
選択を誤り、すべてを失ったあの瞬間。
嵐の咆哮は、
優しすぎた過去の...