泣きはじめたのは、たしか冷蔵庫を開けた瞬間だったと思う。
 ドアを開けたら、レタスがしおれていて、なぜか、それがどうしようもなく哀しかった。 涙がポトポトと落ちて、キッチンマットに小さな斑点ができた。
 自分が何に対して泣いているのか、よくわからなかった。
 たぶんレタスじゃない。たぶん僕でもない。...
泣きはじめたのは、たしか冷蔵庫を開けた瞬間だったと思う。
 ドアを開けたら、レタスがしおれていて、なぜか、それがどうしようもなく哀しかった。 涙がポトポトと落ちて、キッチンマットに小さな斑点ができた。
 自分が何に対して泣いているのか、よくわからなかった。
 たぶんレタスじゃない。たぶん僕でもない。...
燼心(じんしん) 触れなかった指が、
 いちばん深く、
 私を焼いた。 言葉にできぬ想いは、
 閉じた喉の裏で
 長いあいだ鈍く光りつづけた。 あの夜、
 声にできたのは名前だけ。
 それ以外は、
 すべて、火の中に投げた。 灰になっても
 なお温かったものが、
 ひとつ、
 胸の奥に眠っている。&...
灯の消えた部屋に、
 まだ沈むぬくもりがあった。 灰皿には名もない白、
 唇の紅が
 水面にかすかにゆれている。 ひとこと、呼べば
 振り返っただろうか。 煙だけが
 その問いを、夜へ連れてゆく。                ,∧
    , '"´...
週二の筋トレで、体が勝手に変わってきた件 週に2回、懸垂とラットプル、胸と足のマシン、上腕のやつを淡々と続けて1年。
 気づけばTシャツがちょっとピチッとしてきて、背中に哀愁どころか威圧感が。 階段はもう怖くない。
 洗車中、袖から出た上腕に自分で「おっ」と言った。誰も気づいてないけど。 筋トレって...
お仕事でとある文章を書いていると、キーボードの上を横切る猫。 誤字が生まれる。
 でもふと読み返すと、その誤字のままの方が、どこか詩的だったりする。
 「これは意図的か?」と尋ねると、椅子の背で尻を向けた。
 ——猫は時に、推敲を超える。   ...