薄紅のひかりは とうに失はれてあつた
灰色の雲が 低く夜を運んでくる
あおい空を忘れた 底の暗さのなか
小川はただ 凍てついた過去を流すのであつた失はれた歌よ おまへはどこへ消えたのか
冷たい水に この指をひたしてみても
耳の底に鳴りひびくのは こわれた風琴の
ただ寂しげな 鳴りやまぬ錯覚ばかりであ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
薄紅のひかりは とうに失はれてあつた
灰色の雲が 低く夜を運んでくる
あおい空を忘れた 底の暗さのなか
小川はただ 凍てついた過去を流すのであつた失はれた歌よ おまへはどこへ消えたのか
冷たい水に この指をひたしてみても
耳の底に鳴りひびくのは こわれた風琴の
ただ寂しげな 鳴りやまぬ錯覚ばかりであ...
薄紅の秋のひかりは またたく間に褪せて
水のうえを 灰色の雲がすぎてゆく
あおい空の記憶を ひそかに湛へながら
小川はしづかに 冷たさを増してゐたあなたの面影が 水のなかに揺れてゐる
もう届かない 遠い日の窓のやうに
ひとつの名前を つぶやいてみても
流れる水は ただかすかに答へるだけ風が吹いて 梢...
水のうたは もう低く沈んでゐた
光のなかに失はれたもののために
あおい空はこんなにも透き徹り
秋はしづかに 私をとりかこむあなたはもう どこにもゐないのに
小川の砂は あかるくまたたいて
冷たい水に そつと指をひたせば
あの日のかすかな温みが よみがへる風が吹いて ひとつの季節が終る
林の影が 水面...
水はかすかにささやいてゐた
ひそやかな光の緒(を)を織りながら
あおい空のふかみから
しづかに降りてくる秋のなかに私たちは言葉をなくして立つてゐた
光る砂のうえを流れる水の
その冷たさに指をひたしてみる
それは一つの優しい追憶のやうに風が吹いて 林の葉を鳴らし
光のつぶが 水面ではじけた
もう帰らぬ...
夜(よ)はしづかに、竹の青きかげを深め、
冷たき三日月(みかづき)の、空のすみに凍りつく。
風の足音も、いつしか遠くへ去りゆきて、
僕のまはりには、ただ濃き闇の降りてくる。この大いなる孤独のなかに、僕はひとり、
おのが心の、小さきまたたきを見つめてゐる。
失はれたるものたちの、星のやうに遙けきが、
...
|
|