ひとつののちの歌(秋の黄昏に)
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/10/30 21:41:55
風が吹いてゐた、かすかな光のなかに
私たちはもう、言葉を失くして立つてゐた
とり落とした雲のきれはしのように
そらには淡い、葡萄色の影がにじみだすあんなにやさしかつた夏の日々は
どこへ行つてしまつたのだろう
誰もいないかわらの、かれ草のうえで
ひそかに鳴つてゐるのは、遠いオルゴールあやふやな夕闇の、...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
風が吹いてゐた、かすかな光のなかに
私たちはもう、言葉を失くして立つてゐた
とり落とした雲のきれはしのように
そらには淡い、葡萄色の影がにじみだすあんなにやさしかつた夏の日々は
どこへ行つてしまつたのだろう
誰もいないかわらの、かれ草のうえで
ひそかに鳴つてゐるのは、遠いオルゴールあやふやな夕闇の、...
あかるい窓を、夕暮がそつと閉ざしてゆく
淡いひかりのすきまに、一羽の小鳥が啼いてゐた
それはいつか、僕がどこかに失くしたものの
かすかな名前を呼ぶやうに、ふるへてゐた風のなかに、僕はただ独りで立つてゐる
忘れてきたものは、もうどこにも見つからない
かわいた草の匂ひと、あやふやな影のなかに
ただ、さび...
あかるい窓を、夕暮れがそっと閉ざしてゆく
淡いひかりのすきまに、一羽の小鳥が啼いていた
それはいつか、僕たちが失くしたものの
かすかな名前を呼ぶように、ふるえていた風のなかに、きみは静かに立っていたね
忘れてきたものは、もうどこにも見つからない
かわいた草の匂いと、あやふやな影のなかに
ただ、さびし...
凍てつく夜の つめたい月影をあとに
わたしはひとり 風に向かつて歩みだす
もう戻らない あの窓辺のオルゴールと
やさしかつた桔梗(ききょう)の記憶に さよならを告げて(おまへは 夜のなかへ消えゆく旅人よ
ふり返ることもなく ただ影をのばしながら)行く手をはばむ 強い風のむかうから
いくつもの星の光...
草の枯れた ひろい高原のまんなかで
わたしはひとり ちひさな玩具(おもちや)をまはしてゐる……
からからと乾いた風が吹きすぎてゆくなかに
かすかにこぼれる うす青い硝子(がらす)の音色(おまへは 古い時計のやうに
もう戻らない時間を ひとり刻んでゐる)見渡すかぎりの あ...
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