悲しきサーカスの残り香
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/08/15 04:28:56
それは一つの小さな夢のあと
草の原にのこされた 黄いろい輪と
すこしのあいだ空に揺れてゐた 音楽の音――
誰もゐない 五月の午後の微風(そよふ)きのなかで天幕(てんまく)はもう どこかへたためられて去り
旗も とほうもない遠くの空へ消えた
けれど そこにはまだ おもかげが漂ってゐる
おしろいと すこ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
それは一つの小さな夢のあと
草の原にのこされた 黄いろい輪と
すこしのあいだ空に揺れてゐた 音楽の音――
誰もゐない 五月の午後の微風(そよふ)きのなかで天幕(てんまく)はもう どこかへたためられて去り
旗も とほうもない遠くの空へ消えた
けれど そこにはまだ おもかげが漂ってゐる
おしろいと すこ...
あした 目ざめれば 窓のそとは
しづかな細い雨が すべてを濡らしてゐた
あんなに賑やかだつた 幻のやうな場所も
いまはただ 蘆(あし)のやうに青く沈んで草の原にのこされた 昨日の足あとは
水たまりの底で そつとぼやけてゆく
おしろいの匂いも 少女の軽い靴音も
みんな つめたい土のなかに吸はれてあゝ ...
息を吸うたび からだが痛みを訴えても
波のように押し寄せる不安に 怯えないでください
それは肉体という 不器用な器が立てるきしみ
あなたの美しい魂まで 壊すことはできないのです目を閉じて 深く静かな呼吸のなかへ
いまの苦しみは 永遠につづくわけではありません
E = m c ^ 2
細胞の奥底にある...
静かな夜の境界で ぼくの息が止まっても
どうか一粒の涙も こぼさないでください
アインシュタインが その数式で示したように
過去も未来も この「いま」のなかに同時にあるのだから肉体という器が いつか形を失っても
ぼくという自我は けっして消え去ることはない
E = m c ^ 2
質量は光へ 光は意...
かすかな風が 窓をたたいて
ぼくのなかの静かな時間を 呼びさます
すべての重みをもった存在は その奥底に
まばゆい光の祈りを 隠し持っているのだろうか夕闇が パステルカラーの街を包むころ
机のうえで ひそやかに息づく数式
E = m c ^ 2
それは質量が 光へと還るための約束あなたがぼくの名を ...