自作小説倶楽部6月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2026/06/30 22:40:17
『猫の命』長い休暇で勘が鈍った。と気が付いたのは突然、伸びてきた手に身体を掴まれた時だ。俺は「うなあ、」と情けない声を上げて慌てて振り払おうとしたが、がっしりと俺を拘束する両手はびくともしない。 「よおっし! 捕まえたよ」 はて、おかしい。俺は木の上の猫じゃなかったはずなんだが、 12年程まえ...
『猫の命』長い休暇で勘が鈍った。と気が付いたのは突然、伸びてきた手に身体を掴まれた時だ。俺は「うなあ、」と情けない声を上げて慌てて振り払おうとしたが、がっしりと俺を拘束する両手はびくともしない。 「よおっし! 捕まえたよ」 はて、おかしい。俺は木の上の猫じゃなかったはずなんだが、 12年程まえ...
『探偵の探し物』
粗末な扉は拒絶の意思によって音を立てて閉じられた。俺は不意を突かれてその場に立ち尽くしてしまった。ややあって突っ立っていても相手の警戒を解くことは出来ないと気付く。丘の上の掘っ建て小屋の中で男が動物園の虎のように行ったり来たりしている気配があった。仕方なしにやって来た道を戻る。遠く...