一
かなしみを知らない おまへの瞳に
みどりの木陰の ひかりが躍る
それは僕たちが いつか夢みた
いちばん新しい 朝のしらべだおまへの頬を なでてゆく風は
わづかな涙も つばさに乗せて
青いあざみの ひらく野原へ
やさしいにほひを 運んでゆくだらう二
もう冷たい夜は ここにはなくて
窓をあければ 光...
一
かなしみを知らない おまへの瞳に
みどりの木陰の ひかりが躍る
それは僕たちが いつか夢みた
いちばん新しい 朝のしらべだおまへの頬を なでてゆく風は
わづかな涙も つばさに乗せて
青いあざみの ひらく野原へ
やさしいにほひを 運んでゆくだらう二
もう冷たい夜は ここにはなくて
窓をあければ 光...
一
ともしびを消した 夜の窓辺に
ふりしきる雪の しろいまたたき
それは僕たちが いつか失くした
あまくて せつない 約束のいろおまへの頬を つたふなみだは
凍れる夜の くだける破片(かけら)
かなしみはただ うつくしく透き
よごれた世界を あらはしてゆく二
もう呼びあふ こゑも途絶えて
風は静かに...
一
ともしびを消した 夜のまどべに
ただひとつ残る 星のまたたき
それは僕たちが いつか失くした
あまくて せつない 約束のいろおまへの頬を つたふなみだは
月のひかりの くだける破片(かけら)
かなしみはただ うつくしく透き
よごれた世界を あらはしてゆく二
もう呼びあふ こゑも途絶えて
風はあや...
一
だれも知らないみどりの森の
しづかな夜の ひかりのしづく
梢をぬらして あふれるものは
むかし僕たちがわすれた歌だおまへの髪に 月光(つきかげ)がふり
やさしい指が ともしびを消す
そのときかすかに 風のひびきが
ぼくらのまはりで 輪を踊るだらう二
青いあざみの しをれる蔭に
あまたの星の また...
窓の外、紫陽花が泥にまみれて泣いている。
今年最初の招かれざる客が、南の海から這い上がってきた。
気象台の連中はそれを「台風」と呼び、俺はただの「厄介ごと」と呼ぶ。
湿った風が、ビルの隙間で錆びたナイフのように口笛を吹いていた。バーボンのグラスに、生ぬるい結露が滴る。
六月の雨は、いつだって余計な記...