Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



遊園地の廃墟

錆びついた鉄骨が、夜風に吹かれて低く軋む
かつて子供たちの歓声で満ちていた場所は
今や、月光だけが静かに降り積もる記憶の墓場だ
俺は一人、塗装のはげたベンチに腰を下ろす足元で、破れたチケットの切れ端が風に舞った
あいつとここで、未来なんて不確かなものを語り合った
メリーゴーランドの木馬たちは、動くあ...

>> 続きを読む


月光の埠頭

台風が去った後の埠頭は、ひどく静かだった
ちぎれた雲の隙間から、冷たい月光が零れ落ちる
海面は黒いインクのように凝固し
錆びついたボラードが、誰かの墓標のように佇んでいたコートの襟を立て、煙草に火をつける
紫煙は月明かりに溶け、すぐに消えた
ここにはもう、誰もいない
あいつが残した、かすかな香水の残...

>> 続きを読む


雑音(ノイズ)とブルース

外は暴風雨、世界が引き裂かれる夜
停電の闇の中、机の隅でそいつが這いつくばっている
埃を被った真空管、傷だらけのプラスチック
指先でダイヤルを回せば、骨董品がかすかに震えたザー、ザー、と砂嵐の音が部屋に満ちる
台風の咆哮に負けじと、奴は必死に声を絞り出す
途切れ途切れに流れてきたのは
いつかどこかで...

>> 続きを読む


濁流のブルース

窓を叩きつける硝子(ガラス)の雨
街灯がひとつ、水たまりに溶ける
バーボンを煽り、煙草(タバコ)に火をつけば
くたびれたブルースが、俺の背中を撫でた奴は静かに、しかし確実にやってきた
風は軋(きし)み、夜の輪郭を削り取っていく
外では台風が、すべてを吹き飛ばそうと牙を剥く
だが、俺の心は微塵(みじん...

>> 続きを読む


風のなかで


青いあざみの 咲く径(みち)を
おまへとふたり 歩いた日
木漏れ日はただ やさしくて
僕らの影を ひとつに揺らしたあなたの髪の かすかなにほひ
忘れたくない こゑのひびき
たとえ季節が すぎてゆくとも
この高原の 風は消えない二
しづかな夜の しづくのなかに
おまへのなみだを 僕は見た
何も言は...

>> 続きを読む





Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.