観測者のゆくえ肉体という名の「箱」が閉じるとき
シュレーディンガーの猫は ようやく
生死の重なり合いから 解き放たれる意識という名の か細い光(フォトン)は
脳という回路を抜け出し
宇宙の端っこに広がる
巨大なホログラムの一部へと 溶けてゆくそこでは 時間すらも粒にすぎず
「過去」も「未来」も 同...
観測者のゆくえ肉体という名の「箱」が閉じるとき
シュレーディンガーの猫は ようやく
生死の重なり合いから 解き放たれる意識という名の か細い光(フォトン)は
脳という回路を抜け出し
宇宙の端っこに広がる
巨大なホログラムの一部へと 溶けてゆくそこでは 時間すらも粒にすぎず
「過去」も「未来」も 同...
潮風が、古い傷口をなぞるように吹き抜けていく。
ここは、忘れ去られたガラクタと、行き場を失った記憶が流れ着く終着駅だ。
錆びついた錨が、泥濘の中で重い沈黙を守っている。「みんな、幸せになれ」
そんな言葉、カモメの鳴き声にかき消されてしまうだろう。
防波堤に腰を下ろし、俺は最後の一本の煙草に火をつけた...
雨の日の地下鉄は、誰かの古い未練の匂いがする。
俺は湿ったマッチを三度擦り、ようやく小さな火を手に入れた。
指先を焼く熱さだけが、自分がまだ生きている唯一の証拠だった。みんな幸せになれ、だと?
そんな言葉、磨り減った銀貨一枚の価値もありゃしない。
だが、あの街角で泣いていた女も、
名前も知らない駅で...
バーボンの残りが、喉を焼く。
氷が溶ける音は、昨日の言い訳に似ていた。
鏡の中の男は、
「次はうまくやる」と寝言を吐く。
嘘だ。
俺はただ、夜の帳が降りるのを待っている。
銃も、愛も、
乾いた口笛ひとつで片付くさ。
ここはまだ、誰も知らない終着駅。
嘘つきの煙草と、裏切りの雨。
誰も信じちゃいないさ...
風が吹けば、世界は白く塗りつぶされる。
美しすぎて反吐が出るほど、残酷な色の雪だ。
桜の下、酒の抜けたコップに花びらが一枚
無粋な闖入者のように、音もなく滑り込んだ。「来年も、また見られるかな」
そう呟いた声は、風にさらわれて誰の耳にも届かない。
約束なんてものは、春の陽炎と同じだ。
握りしめた拳を...