午前二時の街は、冷え切ったスープのようだ
誰もいない歩道に、ネオンの残骸が刺さっている
俺は安酒の焦げた匂いを肺に流し込み
重い瞼の裏側に過去の咆哮を黙らせる眠りは、底のない井戸に似ている
落ちていく途中で、失くした名前を拾い集める
夢という名の余計なノイズを、
一発の沈黙で撃ち抜くための時間だシー...
午前二時の街は、冷え切ったスープのようだ
誰もいない歩道に、ネオンの残骸が刺さっている
俺は安酒の焦げた匂いを肺に流し込み
重い瞼の裏側に過去の咆哮を黙らせる眠りは、底のない井戸に似ている
落ちていく途中で、失くした名前を拾い集める
夢という名の余計なノイズを、
一発の沈黙で撃ち抜くための時間だシー...
あいつが窓から見つめ続けていたのは_、
地上げ屋の車でも、ネオンの光でもなかった。
この水平線の向こうにある、ゆっくりと波を切り裂き、進んでいく外国船
その白い航跡が、煤けた赤レンガの記憶を塗り替えていく。
昭和という巨大な重石を、あいつの死と一緒に、
この深い群青の底へと沈めてやる。過去は捨てた_...
再会なんて、安い映画の幻想だった。
平成の乾いた風が吹く街角で俺が聞いたのは
あいつが行き止まり路地裏で、
ひっそりと冷たくなったという報せだった。あいつは、あの日から一歩も外へ出ていなかった。
あいつの心は、取り壊された赤レンガの壁の下に、
あの一夜のまま、深く埋まったままだった。奴が最後に遺した...
昭和が終わる。
テレビの中では、誰かが崩御のニュースを繰り返していた。
だが、この赤レンガの檻に流れる時間は、
ひび割れた壁から漏れ出す、冷たい風の音だけだ。あいつは、いつも高い窓から
遠くて瞬く湾岸のクレーンを眺めていた。
「明日になれば、ここも砂利の山だ」
火をつけた安煙草の煙が、闇を白く汚して...
昭和六十三年。冬の湿った風が、
ひび割れた赤レンガの隙間を吹き抜ける。
あいつはいつも、高い窓から地上げ屋の黒い車
を眺めていた。「あの光に、俺たちの居場所はない」
あいつの呟きは、遠くで鳴る工事の音に掻き消された。
窓の外には、建設途中の高層ビルの群れ。
明日を急ぐクレーンの腕が、
時代遅れのこの...