Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



洗われる静寂

朱塗りの門をくぐれば、そこは別の時間が流れている
夕立ちが杉の梢を叩き、古い森が深い溜息をつく
コンクリートの熱を奪い去る 土と葉の匂い
これ以上に 贅沢な香水が他にあるか山林を抜ける風が 耳元で囁く
「お前は何者でもない」と
その無意味さに 俺の背中がようやく軽くなる誰かの期待や 見苦しい欲望
そ...

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境界線の美学

「何のためだ」と 奴らは首を傾げる
正義か、名誉か、あるいは別の見返りか
答えを欲しがる連中に くれてやる言葉はない人の数だけ 理由があるのは知っている
損得に殉じるのも 泥を啜って富を掴むのも
そいつの勝手だ 俺が口を挟むことじゃないだが、一つだけ 覚えておいてもらおう
あんたの並べた その脂ぎっ...

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飢えの流儀

「もっと」と叫ぶ欲望の嬌声が
ネオンの海に 不格好に反響している
俺の胃袋には そんな安物のガソリンは合わない手に入れた瞬間に 重荷に変わるガラクタを
人は成功と呼び あるいは幸福と見紛う
だが、両手が塞がっていては
いざという時 誰の襟首も掴めやしない必要なのは 明日を生きるためのパンと
夜を越え...

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ゼロの矜持

懐の軽さと 魂の重さは比例しない
欲望という名の 底の抜けた器(コップ)に
注ぎ込むための金など 一銭もありはしない「いくら積めば動く」と抜かした奴に
俺の視線の 時価総額が払えるか
札束の厚みで 弾丸の軌道は変えられない損得を数える暇があるなら
その濁った瞳を 雨で洗って出直してこい
俺が賭けるの...

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凍土の聖域

足元で、微かな震えが雪を揺らした。
見捨てられたベンチの影、丸まっていたのは一匹の野良犬だ。
肋骨が浮き出るほど痩せ、氷のような風に、ただ命の灯火を差し出している。俺は黙って、使い古したウールのマフラーを解いた。
高価な代物じゃないが、俺の体温だけはたっぷり吸い込んでいる。
「運がなかったな」
言葉...

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