石造りの尖塔が、鉛色の空を突き刺している。
降り続く雨は、祈りの言葉さえも地上へ叩き落としていた。教会の扉は重く、沈黙を守っている。
ステンドグラスの聖母は、
冷たい雫に濡れながら、救うべき魂の数を数えていた。俺のコートに染み込むのは、ただの雨水ではない。
この街にこびりついた、罪と後悔の重みだ。懺...
石造りの尖塔が、鉛色の空を突き刺している。
降り続く雨は、祈りの言葉さえも地上へ叩き落としていた。教会の扉は重く、沈黙を守っている。
ステンドグラスの聖母は、
冷たい雫に濡れながら、救うべき魂の数を数えていた。俺のコートに染み込むのは、ただの雨水ではない。
この街にこびりついた、罪と後悔の重みだ。懺...
午前二時、都会の底。
古びたトレンチコートが重く水を吸い、
アスファルトに反射するネオンの光が、
割れた鏡のように砕けて散っている。
この街の雨は誰かを癒やすためではなく、
ただ輪郭をぼかすために降り続く。湿った風が路地裏を吹き抜け、
指先の感覚を奪っていく。
暗闇の中で灯る小さな火花は、
冷たい大...
プラットホームの端、レールは不親切に途切れている。
そこから先は、地図にも載らないただの闇だ。
「ここが君の望んだ場所か」
俺の問いに、女は黙って冷えた風を吸い込んだ。
重いトランクの中身は、二人で分かち合えなかった過去の残骸。
改札を出れば赤の他人。
錆びた転轍機(ポイント)のように、俺たちの心は...
終着駅。吐き出す息は白く、レールはそこで途切れている。「ここで終わりだ」
俺の声は、凍りついた空気の中へ吸い込まれた。
女は答えず、ただ古びたトランクの端を握りしめている。背後の改札口、錆びた時計の針が重く刻む一秒。
街の灯りは遠く、追いかけてきた過去もここまでだ。
この先、鉄路は雪に埋もれ、ただの...
コーヒーは冷え、灰皿は限界だった。
窓の外、アスファルトが薄く白んでいく。
午前四時の街には、まだ誰もいない。コートの襟を立て、鍵をテーブルに置く。
金属が鳴らす乾いた音が、部屋の静寂を切り裂いた。
俺は一度も振り返らずに、ドアを開ける。階段を降りると、霧が肺の奥まで入り込んだ。
一晩中、誰かの嘘を...