ベッポはじっくりと考えるのです。
そしてこたえるまでもないと思うと、だまっています。
でも答えがひつようなときには、どうこたえるべきか、ようく考えます。
そしてときには二時間も、場合によってはまる一日考えてから、やおら返事をします。
でもそのときにはもちろんあいては、じぶんが...
愛と平和を
ベッポはじっくりと考えるのです。
そしてこたえるまでもないと思うと、だまっています。
でも答えがひつようなときには、どうこたえるべきか、ようく考えます。
そしてときには二時間も、場合によってはまる一日考えてから、やおら返事をします。
でもそのときにはもちろんあいては、じぶんが...
司祭は足をあげた。
足に鈍い重い痛みを感じた。
それは形だけのことではなかった。
自分は今、自分の生涯の中で最も美しいと思ってきたもの、最も聖らかと信じたもの、最も人間の理想と夢にみたされたものを踏む。
この足の痛み。
その時、踏むがいいと銅版のあの人は司祭にむかって言...
ぼくらは言う。
「ぼくたち、何ひとつ悔いていません。悔いることなんか、何もないんです」
長い沈黙ののち、彼が言う。
「私はね、窓から何もかも見たのだよ。あの一切れのパン……。しかし、懲罰は神だけの権限なのだ。おまえたちに、神の代理を務める資格はない」
ぼくらは黙っている。
...
あんなひどいことを言うつもりじゃなかった、と言って聖は泣いた。
わたしは違うの、と言って、あなたは何も間違ったことを言っていない、わたしが悪いのと言って、わたしの腕をさする聖の腕をさすった。
聖は、違うの、わたし意地悪になって、いつもこうなってしまうの、それでいつもだめにしてしまうの、何...
審問官は口をつぐんだあと、囚人が何と答えるか、しばらく待ち受ける。
相手の沈黙が彼には重苦しくてならない。
囚人がまっすぐ彼の目を見つめ、どうやら何一つ反駁する気もない様子で、終始静かに誠実に耳を傾けていたのが、彼にはわかっていた。
老審問官にしてみれば、たとえ苦い恐ろしいことでも...